ファンド設立・組成

適格機関投資家等特例業務

1.適格機関投資家等特例業務によるファンド設立

適格機関投資家等特例業務とは、ファンドマネージャーが第二種金融商品取引業、投資運用業などの登録を必要とすることなく運用を行うスキームをいいます。 当該特例業務を適用する要件として、①適格機関投資家が1名以上いること、②一般投資家が49名以下であることの2点が挙げられます。
適格機関投資家等特例業務 迅速かつ低コストでファンド設立・運用することが可能に
第二種金融商品取引業等への登録には通常数ヶ月はかかりますが、適格機関投資家等特例業務の場合は審査がないため、数週間程度で事業を開始することも可能になります。 また、書類作成の手間も比較的要しないことから、ファンド設立にかかるコストもリーズナブルに抑えることができます。

ファンド設立のポイント

  • 募集前に適格機関投資家等特例業務の届出を金融庁に提出する必要がある(審査はない)
  • 1名以上の適格機関投資家として第一種金融商品取引業者・投資運用業者・投資事業有限責任組合(LPS)等が出資を行うケースが多くみられる

2.適格機関投資家とは

上記の適格機関投資家とは、有価証券に対する投資に係る専門的知識及び経験を有する者をいい、例えば以下が該当します。
適格機関投資家の資格を有する者 届出を行うことで適格機関投資家になれる者
  • 金融商品取引業者(第一種金融商品取引業または投資運用業)
  • 投資事業有限組合
  • 金融機関(銀行、証券会社等) 等
  • 有価証券残高が10億円以上の法人
  • 有価証券残高が10億円以上で、口座開設後1年経過している個人 等

3.適格機関投資家等特例業務の注意点

適格機関投資家等特例業務を行う者の中には、実態のない投資事業有限責任組合を利用する、証券会社から名義のみを借りる等、本制度の趣旨に反した運用を行っているケースが見られます。 このため、金融庁は適格機関投資家等特例業務に係る業務の適切性を監督するための指針を公表しています。
具体的内容
勧誘・説明態勢の検証
  • ファンドマネージャーの運用報酬が実際のものよりも著しく低額であるという虚偽の表示・説明をしていないか
  • 取引による損失の発生やリスク等のデメリットが全くないとの虚偽の表示・説明していないか 等
モニタリング調査表
  • 運用財産額
  • 投資対象に関する事項 等を毎年5月31日までに報告
また、金融商品取引法改正に伴い2016年より一般投資家の範囲が厳格化されます。
参照コラム:
(2016/2/29) 適格機関投資家等特例業務、法改正の施行は2016年3月から
適格機関投資家等特例業務に関する特例を適用して、コストを抑えて柔軟にファンド設立・運用したいと考えるファンドマネージャーは少なくありません。 一方、適格機関投資家の要件や当該特例業務の届出は法令で厳格に定められており、制度の改正にも対応する必要があるため、特例を活用するには専門的な知識が求められます。 また、適格機関投資家から出資を受けるあてが見つからないというファンドマネージャーのお悩みもよく伺います。

悠和会計事務所はファンドに特化したプロフェッショナルによる事務所であり、金融を専門とする提携弁護士や行政書士とともにファンドの設立・組成を多数支援してまいりました。
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