仮想通貨の会計基準、ビットコイン等は時価で評価

ビットコイン等の仮想通貨は、一時期の熱狂ぶりからだいぶ落着きを取り戻したようです。
投資対象としても安定性を増したためか、ファンド設立の要望もよく聞こえます。
ここで、企業会計基準委員会から会計基準が公表されました。

活発な市場で取引される仮想通貨は時価評価

企業会計基準委員会(ASBJ)は3月14日、「資金決済法における仮想通貨の会計処理等に関する当面の取扱い」を公表しました。
公開草案の通り、活発な市場が存在する仮想通貨は市場価格を貸借対照表価額とし、簿価との差額は損益とするものとされました。
ビットコインやイーサリアム等、取引所や販売所で十分な数量及び頻度で取引されている仮想通貨がこれに該当します。

また、仮想通貨の期末保有額が重要な場合、種類ごとの保有数量、貸借対照表価額等を注記するよう定められました。
本取扱いは2018年4月1日以後開始する事業年度の期首から適用されます。

なお、日本公認会計士協会からは、「仮想通貨交換業者の財務諸表監査に関する実務指針」の公開草案が3月23日に公表されました。
仮装通貨に関する会計や監査のルール整備は、中長期的な発展のために歓迎すべきと考えます。

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仮想通貨の税務・会計に関する方針が相次いで公表

ビットコイン等仮想通貨への注目は日に日に高まり、ファンドを設立したいとの声もよく聞きます。
ファンドを組成するには税務や会計の取扱いが明確でなければならず、これまでは所得区分や計算方法が不透明であったため時期尚早と見られてきました。
しかしここにきて、国税庁や企業会計基準委員会から方針が公表されるようになりました。

仮想通貨の所得は原則として雑所得、計算方法も明示

国税庁は2017年12月1日、「仮想通貨に関する所得の計算方法等について(情報)」を公表しました。
ビットコインだけではなく仮想通貨全般を対象としており、主なポイントは以下の通りです。

項目 取扱い
取得価額 移動平均法もしくは総平均法により計算
仮想通貨の交換 仮想通貨Aと他の仮想通貨Bを交換した場合、Bの交換時の時価とAの取得価額との差を所得
所得区分 原則として総合所得の雑所得、証拠金取引にも申告分離課税の適用なし
(株式やFXの損益との通算や損失繰越は不可、仮想通貨同士の損益通算は可能)

また、企業会計基準委員会(ASBJ)からは12月6日、「資金決済法における仮想通貨の会計処理等に関する当面の取扱い(案)」が公表されました。
活発な市場が存在する仮想通貨は市場価格を貸借対照表価額とし、簿価との差額は損益とするとの処理が示されています。
値動きが激しい現状でいつ時点の市場価格を採用するのか、また税務上の扱いについても今後具体的な方針が待たれます。

税務や会計上の処理方針が出揃いつつあり、今後は仮想通貨ファンドの設立も増えてくると考えます。

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2017年下半期ファンド問合せ状況

ファンドを設立したいというお問合せの数は、昨年の適格機関投資家等特例業務の法改正前よりは減少しています。
ただし、適格機関投資家等特例業務以外のスキームによるファンドの設立は増えており、問合せの数に対する実際に組成されたファンドの割合も大きくなりました。

ベンチャー投資の問合せが依然多い

ファンドの投資対象別で問合せが多かったのはベンチャー投資、次に不動産ファンドでした。
2017年下半期ファンド問合せ(投資対象別)太陽光発電投資に関するご相談は減少傾向にあり、固定買取価格の引下げによる利回りの低下が響いています。

その他、ビットコイン等仮想通貨に投資するためのファンドを設立したいというご要望も数件ありました。

ストラクチャー別に見ると、匿名組合(TK-GK)スキームが全体の半数、投資事業有限責任組合(LPS)が20%程度でした。
2017年下半期ファンド問合せ(スキーム別)ビットコイン等仮想通貨に投資するファンドを組成したいというご要望はこれから増加すると思われます。
どのスキームが最適か、今後公表される会計基準や税制を踏まえて検討してまいります。

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2017年ファンド・投資環境の変化

2017年のファンド・投資環境は、ビットコインを初めとする仮想通貨の高騰に大きく沸きました。
ファンド設立や会計・税務に係るアプローチも、今後大きく変わることが予想されます。

ビットコイン等の取扱いが示され、今後はファンドの投資対象にも

仮想通貨はここ1~2年で爆発的な勢いを見せ、日本でも国税庁や企業会計基準委員会から税務及び会計上の取扱いについて相次いで公表されました。 
これまで個人を中心に普及が進んできましたが、今後はファンドの参入も加速するものと思われます。
この他、不動産特定共同事業法の改正法が施行され、機関投資家等のスーパープロ投資家向けや小規模案件については規制が緩和されました。
不動産ファンドのスキームとして、再び注目が集まっています。

2017年改正項目 影響 内容
 ビットコイン等の税務・会計基準案が公表 全般 原則として雑所得、消費税は非課税に
 積立NISAの申込開始(運用は2018年1月から) 個人 年間40万円で総額800万円まで非課税
 ベンチャー投資促進税制が延長 法人 1年延長、損金限度額は50%に
 不動産特定共同事業法の改正 不動産 スーパープロ投資家向けや小規模案件の規制が緩和
 不動産取得税、登録免許税の軽減延長 不動産 特定目的会社や投資法人等の軽減税率が2年延長
 即時償却、一部売電では可能に 太陽光 事業用設備の一部売電は即時償却が可能な場合も

ビットコイン等仮想通貨のファンドを設立したいというご相談は既によせられています。
会計や税務の動向を踏まえ、最適なスキームをご提案したいと考えます。

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2017年上半期ファンド問合せ状況

ファンドを組成する方達にとって、昨年の適格機関投資家等特例業務の法改正は大きな影響がありました。
投資家の要件が厳しくなりファンド設立の問合せも一時減少しましたが、今年に入って当該改正を踏まえて組成できないかというご相談が増えてきております。

ベンチャー投資、太陽光発電の問合せが依然多い

ファンドの投資対象別で問合せが多かったのはベンチャー投資、そして太陽光発電投資でした。
2017年上半期ファンド問合せ(投資対象別)ここ数年のIPOブーム、また再生エネルギーの固定価格買取制度が追い風となり、ファンド形態でより多くの投資資金を集めようという案件が増えています。
その他にはジョイントベンチャーによる事業投資や知財などがありました。

ストラクチャー別に見ると、匿名組合(TK-GK)スキーム投資事業有限責任組合(LPS)がほとんどでした。
2017年上半期ファンド問合せ(スキーム別)太陽光発電設備や不動産への投資はTK-GK、株式投資はLPSと分かれています。
但し、必ずしもこのような組合せがベストとは限らず、投資家層やファンド規模によっては別の選択肢を検討した方がよい場合もあります。
法務、税務、会計の観点から総合的に判断することが重要です。

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