投資事業有限責任組合の基準が今年も改正、ファンド監査報告書や注記に影響

「投資事業有限責任組合における会計処理及び監査上の取扱い」の改正案が公表されました。
昨年公表された「特別目的の財務報告の枠組みに準拠して作成された財務諸表に対する監査」 を受けて見直しが行われています。

ファンド監査は「特別目的の財務報告」、「準拠性」の枠組み

投資事業有限責任組合や任意組合に関するファンド監査の多くは、特別目的の決算書を対象とし、準拠性の枠組みであることが整理されました(下表の右下)。
ファンド監査は「特別目的の財務報告」、「準拠性」に該当
ファンド監査報告書においても、従来は決算書が「適正に作成しているか」意見を表明していましたが、新基準によれば会計基準や組合契約に「準拠して作成しているか」について表明することになります。

また、ファンド監査報告書が特定の利用者のみを想定している場合、配布及び利用が制限されている旨を記載します。
例えば無限責任組合員が有限責任組合員のみに提出する場合が挙げられます。

ファンド決算書の注記や業務報告書も改正

ファンドの決算書に注記される情報にも改正があります。
● 財務諸表等作成の基礎:投資事業有限責任組合法や会計規則、組合契約に準拠している旨
● ファンドの存続期限が1年未満になった場合:早期換金化による流動性リスクに言及
● 最終年度に資産の回収及び負債の返済ができなかった場合:早期処分価額での評価に言及

この他、業務報告書にも、過年度に減損した銘柄について投資償却損累計額を記載する等の変更があります。

今回の改正は2015年4月1日以後開始する事業年度からの適用となる見込です。

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