2017年ファンド税制 ~不動産取得税、登録免許税の軽減延長~

ファンドが不動産を取得する際に負担する税金として不動産取得税、登録免許税があります。
2017年税制改正により、これらの税金に関する軽減措置が延長されました。

ファンドの不動産取得税、登録免許税に係る軽減措置が2年延長

特定目的会社、投資信託、投資法人(REIT)等に課せられる不動産取得税について、課税標準の5分の3軽減特例がさらに2年延長され、2019年3月末までとなりました。
不動産特定共同事業法に基づき取得した新築家屋等に係る不動産取得税についても、課税標準の2分の1軽減措置が2019年3月末まで延長されました。

また、登録免許税の軽減措置も同様に、2019年3月末まで延長されています。

  • 所有権移転登記:通常1000分の20 →1000分の13
  • 保存登記(不動産特定共同事業法のみ):通常1000分の4 → 1000分の3
不動産取得税
(地法附則11③~⑤,⑭)
登録免許税
(租税特別措置法83の2,3)
特定目的会社
投資信託、投資法人
5分の3を控除
(5分の2に軽減)
所有権移転:1000分の20 → 1000分の13
不動産特定共同事業法
(一定の新築家屋等が対象)
2分の1を控除 所有権移転:1000分の20 → 1000分の13
保存:1000分の4 → 1000分の3


土地売買、住宅用建物の登録免許税も軽減特例延長に

なお、ファンドに限定された措置ではありませんが、土地売買や、個人の住宅用建物に係る登録免許税についても、引続き軽減措置が適用されます。

登録免許税
所有権移転 所有権保存
土地の売買 1000分の20 → 1000分の15
(2019年3月末まで)
 1000分の4
個人の住宅用建物
(新築及び一定の中古)
1000分の20 → 1000分の3
(2020年3月末まで)
1000分の4 → 1000分の1.5
(2020年3月末まで)

ファンド組成の際、税金コストは無視できません。
軽減措置については適用期限と併せて把握しておくことが重要です。

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投資事業有限責任組合等のファンド監査報酬(2015年度)

ファンド監査の報酬等について、公認会計士協会が2015年度の状況を公表しました。
投資事業有限責任組合と特定目的会社はファンド監査が義務づけられており、監査報酬や時間数等の監査実施状況調査の結果がまとめられています。

特定目的会社のファンド監査報酬が減少傾向、投資事業有限責任組合の件数増加

2015年度(2015年4月期~2016年3月期)におけるファンド監査の報酬水準は下表の通りです。
ファンド監査報酬(2015年度)ファンド監査報酬の平均は投資事業有限責任組合で約100万円、特定目的会社で約130万円となり、特定目的会社の監査報酬は減少傾向が見られます。
もっとも、最低値と最高値の乖離が大きい状況は続いており、同じスキームでも運用財産の内容や投資家層によって監査手続やリスクが異なる結果と考えられます。

また、ファンド監査の数については、投資事業有限責任組合が679件(前年比+19件)と増加しています。
内訳は投資収益(売上高)10億円未満の件数が増加する一方、投資収益10億円未満の件数は減少しました。
適格機関投資家等特例業務の改正が2016年3月に施行され、その前の駆け込みで小規模のファンドが積極的に立上げられていたと推測されます。

2016年度はこうした小規模ファンドの件数は減少していることが予想されます。
それでも依然としてファンド設立や会計のご相談は多く、そうした方々のご要望に応えられるよう、法規制に則り多角的な提案をしてまいります。

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2016年ファンド・投資環境の変化

2016年はBrexit、トランプ氏のアメリカ大統領選勝利と海外諸国の動きに左右されながら大きく揺れた年でした。
ファンド・投資環境としては、適格機関投資家等特例業務の法改正による影響が大きかったと考えます。

適格機関投資家等特例業務、一部の小規模ファンドでは活用困難に

今年3月の金商法改正で適格機関投資家等特例業務への規制が強化され、一般投資家の範囲が投資資産を1億円以上保有する個人等に限定されました。
この他、税抜1,000万円以上の高額特定資産を取得した場合に3年間免税または簡易課税の適用が受けられなくなる消費税法改正もありました。

2016年改正項目 影響 内容
 ジュニアNISAの運用開始 個人 未成年者口座で年間80万円まで非課税
損益通算の範囲改正
個人 上場株式等と特定公社債の損益通算が可能に
上場株式等と非上場株式等の損益通算は不可能に
× 適格機関投資家等特例業務の改正法案 全般 適格機関投資家や一般投資家に規制
× 消費税還付スキームがほぼ困難に 不動産 免税・簡易課税の要件が厳格化
× 即時償却の延長の縮減 太陽光 生産性向上設備投資促進税制は50%償却or4%控除


今後ファンド設立の際はこれら法規制や税制を踏まえ、適法かつ有利な設計をより一層多面的に検討することが求められます。
来年も皆様のお力になれるよう尽力しますので、宜しくお願い申し上げます。

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社債ファンドが増加、契約書(募集要項)や税制に注意

社債ファンドを設立したいというお問合せが増えてきました。
適格機関投資家等特例業務の法改正によって、従来の匿名組合スキーム等が難しくなってきたことが影響しています。
社債スキームであれば、設計次第では金融商品取引業への登録なしにファンド業務も可能であるものの、注意したい重要なポイントがいくつかあります。

少人数私募債であれば有価証券届出書等が不要に

社債を発行する場合、原則として有価証券届出書の届出や決算書等の開示が必要なため、上場会社や大企業の資金調達手段というイメージが強いかもしれません。
但し、一定の要件を満たす少人数私募債であれば有価証券届出書等は不要となるため、社債ファンドとしても活用できる余地は広がります。

少人数私募債の要件
● 発行総額を1億円未満とすること(一定の告知をしない場合)
● 社債引受を勧誘する対象者は50名未満
● 社債総額を1口の金額で割った口数は50未満
● 譲渡制限を設けること 等

社債ファンドを設立する際は、少人数私募債の要件を満たすよう設計する、また責任財産限定特約を盛込む等、社債引受契約書や募集要項の作成には特に検討が必要です。

社債利息は総合課税になる場合も

社債の利子所得等に係る税制が平成28年税制改正により変わりました。
特定公社債等(国債や上場公社債等)と一般公社債等に区分され、特定公社債等は上場株式等に含めて損益通算や譲渡損の3年繰越控除が可能となりました。

特定公社債等 一般公社債等
原則 同族株主等による引受
利子 20.315%源泉分離
or 申告分離
20.315%源泉分離 総合課税
償還差益 20.315%申告分離 20.315%申告分離 総合課税
譲渡損益 20.315%申告分離 20.315%申告分離 20.315%申告分離
損益通算 上場株式等と通算可能 一般株式等と通算可能
3年間の繰越控除 ×

同族会社が発行する社債の場合、同族の判定の基礎となった株主等が受取った利息は総合課税(累進課税)となります。

少人数私募債スキームであれば、第二種金融商品取引業や投資運用業に登録しなくてもファンドとして設計が可能となり得ます。
適格機関投資家等特例業務に替わるファンド設立のスキームとして、活用される機会が増えるものと考えます。

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消費税還付スキームは今後困難に、不動産ファンド組成に影響も

ファンド組成時の消費税シミュレーションは、投資の利回りを検討する上で重要な要素です
特にマンションやアパートを運用する不動産ファンドにおいてよく見られた消費税還付スキームは、平成28年税制改正により困難になりました。

従来の税制では完全に防止できなかった消費税還付スキーム

ファンド設立初年度に課税事業者を選択してマンション取得等に係る消費税の還付を受け、その後免税事業者や簡易課税事業者になるスキームが一時期流行しました。
これに対し平成22年税制改正で、調整対象固定資産の課税仕入に係る規制が設けられました。
簡単に説明すると、課税事業者を選択した事業者等が100万円以上の固定資産を購入した場合、3年間免税事業者または簡易課税事業者になれないというものです。

しかし、例えば
● ファンド設立後2年間休眠させ、3年後にマンション等を取得する場合
(規制は「課税事業者選択の継続適用期間中(2年間)」という要件があるため)
● 上半期に1,000万円以上の課税売上高または給与を計上し、翌期自動的に課税事業者になる場合
など規制の対象から外れるケースが残されており、消費税還付スキームは依然として有効でした。
税制改正前は2年間休眠させれば「還付逃げ」が可能今回の改正は、こうしたケースを利用した租税回避を防止するものといえます。

1,000万円以上の資産取得で、3年間免税または簡易課税を適用できず

今回の改正では、高額特定資産(税抜1,000万円以上の棚卸資産または固定資産)を取得した場合、その期初から3年間、免税または簡易課税の適用が受けられなくなりました(消法12の4①)。税制改正後は3年間免税や簡易課税が適用不可にこれにより、マンション等を取得後最低2年間は何があっても免税点制度や簡易課税制度を利用できず、2年後の期末に仕入控除税額の調整が生じるものと見込まれます。

この特例は、高額特定資産を廃棄や売却したとしても継続して適用されます(消基通1-5-22の2)。
また、つい最近消費増税の延期が公表されましたが、当該高額特定資産の特例については予定通り2016年4月から施行されています。

今後マンションやアパート等の不動産ファンドを設立する際、特に注意しなければならない税制改正です。

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