ファンドのトレンド

私が監査法人に所属していた頃、特に2005年以降ベンチャーキャピタルの監査を担当することがよくありました。
ファンドを設立して投資家からお金を募り、上場(IPO)を目指す未公開会社の株式に投資するというもので、主に投資事業有限責任組合(LPS)や任意組合が組成されていました。

ライブドアを始めとして若手経営者が会社を次々と上場させ、ファンドもそういった会社の成長性に投資するための器として盛んに組成されていました。
NHKの「ハゲタカ」というファンドを舞台にしたドラマが人気となり、また会計監査がテーマのドラマ「監査法人」が放映されたのもこの頃だったように思います。

同じ時期、不動産ファンドが活況でした。
地価の上昇に乗ってオフィス、商業施設、レジデンス(住宅)の開発が進み、資金調達の手段として活用されたのが特別目的会社(SPC)でした。
ここでは、金融機関からノンリコース・ローンを調達するため、匿名組合ファンド(TK-GK)特定目的会社(TMK)といった法人格を有するスキームが次々に設立されました。

これらベンチャーキャピタルファンドや不動産SPCはリーマンショック、その後の金融危機により勢いを潜め、替わりに事業再生ファンドが積極的に登場するようになりました。
その特徴としては、単なる資金を調達する器に留まらず、人材(経営陣や監査役)を参画させるケース、政府や自治体がスポンサーとして主導するケース等、案件や目的に応じて多様かつ柔軟なファンド設計が行われていた点が挙げられます。

そして今、株高・地価回復・円安というトレンドの中で、IPOや不動産市場が活気づいてきています。
かつてのように不動産SPCが盛り返すのか、あるいは全く新しいスキームが登場するのか、ファンド監査も変わるのか・・・目が離せないこの頃です。