太陽光ファンドの所得区分

太陽光ファンドについて、最近でも何件か問合せがあります。
固定買取価格の引下げ、電力会社の発電設備接続保留等がありましたが、ソーラーパネルの調達価格も下がっているそうで太陽光事業はまだ続きそうです。

太陽光ファンドに個人投資家が投資する場合は所得区分が問題になりますので、ファンド設立に際してしっかり説明することが重要になります。

事業、不動産、雑のいずれかに区分

有限責任事業組合(LLP)等パススルーが適用されるスキームの場合、個人投資家は自らが売電したものとして所得を申告します。
ここで、太陽光事業を個人が行う場合、原則的な取扱は下表の通りになります。

太陽光事業の所得区分

不動産所得者が賃貸ビル等に太陽光発電設備を設置する場合、余剰電力の売電(一部売電)は不動産収入になりますが、全量売電の場合は不動産所得と関連しないため雑所得または事業所得と考えられます。

また個人事業者が発電設備を設置した場合、店舗兼自宅であっても発電収入は自宅分含め全て事業所得の付随収入と考えられます。
但し、必要経費に算入する減価償却費は、総発電量のうち自宅使用割合相当を除外し、売電及び店舗使用割合相当を事業用割合として計算することとなりそうです。

なお、太陽光ファンドがTK-GKスキームの場合は、匿名組合分配益として雑所得に区分されます。
ファンド設立の段階から個人投資家の実情に合わせてスキームを検討することが大切と考えます。

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来年の税制改正でNISAや太陽光ファンドは?

ファンドや投資環境に大きな動きがあった今年も、残すところあと2ヶ月となりました。
12月に入れば、平成27年度税制改正大綱の取りまとめが行われるものと予想されます。
ここで、8月に各府省庁から提出された税制改正要望のうち、ファンドや投資に関係ありそうな項目を見てみたいと思います。

ジュニアNISAの創設?

金融庁は、0歳~19歳の未成年者でも口座開設を認める「ジュニアNISA」の創設を要望しています。
資金拠出や運用は親権者等を想定しているようです。
他にも、投資上限額を年間120万円へ引上げる等、使い勝手の向上を図る内容が見られます。

以前NISAの注意点を取上げましたが、こういった新制度では思わぬ落とし穴がありがちですので注視したいと思います。

太陽光等についても税制優遇を

太陽光については、即時償却の適用期限を1年間延長し、2016年3月までとする要望が環境省や経産省から出されました。

その他、金融庁と環境省から、投資法人(REIT)のペイスルー課税拡充が求められています。
具体的には、投資法人が再生可能エネルギー発電設備にペイスルー課税を適用できるのは2017年3月末までに取得したものに限定するといった要件の撤廃を挙げています。

電力会社の買取問題等で揺れる太陽光ですが、今も太陽光ファンドの設立や既存ファンドへの設備売却に関する問合せがあります。
税制による一層のサポートが期待されます。

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