「金融商品会計に関する実務指針」(移管指針第9号)が改正されました。
一定の要件を満たすベンチャーキャピタルファンド等へ出資する場合、当該ファンドの投資先である非上場株式等を公正価値(時価)で評価できるようになりました。
組合が投資する非上場株式等の時価評価が可能に
組合等(投資事業有限責任組合、匿名組合、パートナーシップ等)の構成資産が市場価格のない株式の場合、日本の会計基準では従来取得原価で評価することとされていました。
一方、ベンチャーファンドを中心に、非上場株式等を公正価値(時価)により評価する組合等も増えてきました。
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ファンドが時価評価を行っても、パススルーで取込む出資者側がIFRSを採用していない場合、これまでは日本基準に従い取得原価に組替えなければなりませんでした。
今後は、以下の2要件を満たす組合等へ出資した場合、時価評価が可能となります。
①組合等の運営者が、財産の運用を業としていること
②組合等の決算において、投資先である市場価格のない株式について時価評価を行っていること
| 出資者の処理 | 改正前 | 改正後 |
|
組合等が投資する非上場株式等 |
取得原価 | 一定の要件を満たす組合等は時価(公正価値)評価が選択可能に |
| 減損するケース | 実質価額(1株当たりの時価純資産評価額等)が50%程度以上低下した場合 | 時価評価を選択した場合、当該時価が50%程度以上低下したとき (回復見込があると認められる場合を除く) |
| 注記 | – | 時価評価を選択した場合、その旨・選択方針・貸借対照表計上額等を注記 |
なお、時価評価を選択した場合、評価差額の持分相当額は純資産の部に計上します。
また、時価評価の対象となる範囲について、以下の注意点があります。
・組合等ごとに時価評価を適用するか出資時に選択し、原則として継続適用
・組合等の構成資産が出資者の子会社及び関連会社株式である場合、時価評価の対象外
・ファンド・オブ・ファンズの場合、組合等が出資する別の組合等ごとに時価評価の要件を満たすか判定を行う
本改正実務指針は、2026年4月1日以後開始する事業年度から適用されます。
2025年4月1日以後開始する事業年度からの早期適用も認められています。






