スタートアップ企業へ投資する個人を税務面から後押しするエンジェル税制。
2025年税制改正により、株式譲渡益が発生した翌年に再投資すれば所得税が還付される制度が創設されました。
株式譲渡益発生年の翌年までに再投資すれば繰戻還付
| 優遇措置A | 優遇措置B | プレシード・シード特例 | 起業(スタートアップ支援)特例 | |
| 投資時の優遇 |
投資額-2,000円を総所得金額から控除 |
・投資額をその年の株式譲渡益(上場・非上場)から控除 |
||
| 株式譲渡時の計算 | 優遇を受けた投資額だけ、譲渡益を増加 (課税の繰延) |
20億円までは譲渡益増加の調整なし (非課税) |
||
| 株式譲渡時の優遇 | 譲渡損を他の非上場・上場株式等の譲渡益と通算可、3年繰越可 | |||
| 【対象会社の要件】 | ||||
| 設立 | 5年未満 | 10年未満 | 5年未満 | 1年未満 |
| 外部資本比率 | 5%~1/6以上 | 1/6以上 | 5%以上 | 1%以上 |
| その他 | 設立年数ごとの研究者/新事業従事者/試験研究費比率/売上成長率等のいずれかを満たす |
・営業損益0未満 |
販管費の出資金額に対する割合30%超 等 | |
| 【個人投資家の要件】 | ||||
| 属性 | 50%超の同族株主グループに属していないこと | 発起人に該当 | ||
| 金銭払込 | 要 | 要 | 要 | 要 |
| 保有期間 | – | – | 再投資年の翌年末までに譲渡すれば非課税ではなく繰延に(IPO・M&A等除く) | |
譲渡益控除型である優遇措置B、プレシード・シード特例、及び起業(スタートアップ支援)特例において、見直しが行われました。
従来は、株式譲渡益が発生した当年中に再投資することが必要でした。
改正後は、譲渡益が発生した翌年中に再投資すれば、前年の売却益に係る譲渡所得税を繰戻還付できるようになります。
この場合、前年分の確定申告に「翌年中に再投資見込み」の書類を添付する必要があります。
20億円までの非課税優遇には翌年末までの保有期間要件
プレシード・シード特例及び起業特例においては、短期売買の抑制措置が設けられました。
すなわち、上記特例を適用して再投資した株式は、取得年の翌年末まで保有する必要があります。
それまでに売却した場合、非課税優遇を受けられず課税繰延へ切替えられることになりました。
但し、IPOやM&A等による売却に関しては、当該規制の対象外となります。
この他、税務署への通知義務が強化されました。
対象会社は、投資家の譲渡・贈与を把握した場合は株式異動状況通知書を作成し、翌年1月31日までに所轄税務署長に提出します。
今後は、4つの制度の全ての場合にこれが必要となり、またエンジェル税制を適用していない株式も含まれるようになります。
その前提として、投資家側も異動状況を対象会社へ通知する必要があります。
本改正は、2026年1月1日以降取得分から適用されます。






