2026年ファンド・投資税制②  ~暗号資産が分離課税に~

暗号資産の分離課税がとうとう実現する見通しとなりました。
ビットコインやイーサリアムを売却した個人に課せられる所得税は、大幅に引き下げられることが期待されます。

特定暗号資産の譲渡所得は20%分離課税に

個人がビットコイン等を売却した場合、これまでは総合課税となり最大で55%(住民税含む)の所得税が課せられました。
今後は、金融商品取引業者登録簿に登録されている一定の暗号資産等(特定暗号資産)に係る譲渡所得は20%の分離課税となります。
また、特定暗号資産の譲渡損失は、最大3年の繰越も認められることとなりました。

  特定暗号資産(現物) その他
売却時 分離課税の譲渡所得

総合課税の譲渡所得
(50万円控除、長期1/2、他の所得との通算は適用外)

税率(所得税+住民税) 20.315% 15~55%
譲渡損失 3年繰越 繰越不可

消費税の取扱いも改正

所得税だけでなく消費税の取扱いも変わります。

  改正前 改正後
譲渡 課税関係 非課税(支払い手段に類するもの) 非課税(有価証券に類するもの)
課税売上割合 分子・分母ともに算入しない 対価の5%を分母に算入
貸付 課税 非課税

暗号資産は「有価証券に類するもの」として扱われるようになります。
これにより、譲渡に関しては課税売上割合の計算上、譲渡対価の5%相当額を分母に算入することとなりました。
また、貸付により得られる報酬についても、従前の課税取引から非課税取引へ変更されます。
消費税改正の対象は、特定暗号資産に限らずアルトコインやミームコイン等全ての暗号資産が含まれます。

以上の改正は、金融商品取引法の改正法の施行日の属する年の翌年1月1日以後に行う暗号資産の譲渡等から適用されます。

2026年ファンド・投資税制①  ~こどもNISAの新設~

2027年からこどもNISAが始まります。
18歳未満でも、つみたて投資枠で年間60万円まで投資運用が可能となります。

こどもNISAは年間投資枠60万円、最大600万円まで

2023年に終了したジュニアNISAに替わり、こどもNISA(未成年者特定累積投資勘定)が創設されました。
年間60万円の投資が可能で、非課税保有限度額は600万円です。

こどもNISAの位置づけ

※ こどもNISAの引出し制限

原則 18歳まで配当金や売却代金も含めて引出し不可
(売却や再投資は可能)
例外① 3月31日時点で12歳以降は、子の同意を得た場合に教育費または生活費のための払出しが可能
例外② 12歳前でも災害等一定の場合には、税務署長の確認を受ければ払出しが可能

制度設計は新NISAのつみたて投資枠とほぼ同様で、投資を取崩した分の枠は簿価残高方式で再利用できる点も同じです。
但し、原則として18歳になるまで引出しできない点には注意が必要です。
なお、18歳になれば、自動的に新NISAのつみたて投資枠へ移行します。

こどもNISAは2027年1月1日から開始します。

投資事業有限責任組合等のファンド監査報酬(2024年度)

ファンド監査の報酬等について、公認会計士協会が2024年度の状況を公表しました。
ここ数年、投資事業有限責任組合、特定目的会社ともに件数及び平均報酬額の増加が続いています。

投資事業有限責任組合、特定目的会社ともに件数及び報酬水準が続伸

2024年度(2024年4月期~2025年3月期)におけるファンド監査の報酬水準は下表の通りです。

ファンド監査報酬の平均は投資事業有限責任組合が約150万円、特定目的会社が約210万円と、いずれも前年比で増加しました。
またファンド監査の件数も、投資事業有限責任組合が1,696件(前年比+109件)、特定目的会社も786件(前年比+25件)といずれも増加しています。

インフレの沈静化はまだ先になりそうな情勢の中、監査報酬も大きく下がることはなさそうです。

2025年ファンド・投資環境の変化

2025年のファンド・投資環境は、トランプ関税や米中対立に揺れた一年なりました。
一方、日本においては、初めての女性首相が誕生し、積極財政への期待から「高市ラリー」による株価上昇も見られました。

ファンドに関しては、昨年から続く株高や堅調な不動産市場に支えられて投資や売却のご相談が多く寄せられました。

貯蓄から投資への流れを後押し

2025年改正項目 影響 内容
iDeCoの拠出限度額の引上げ 株式 月額62,000円~75,000円へ引上げ
エンジェル税制の見直し 株式 譲渡益発生の翌年までに再投資すれば繰戻還付
企業版ふるさと納税の3年延長 株式 チェック機能強化の上、2028年3月31日まで延長
中小企業経営強化税制の見直し 事業 延長、A類型拡充、C類型廃止

2025年の投資関連税制では、個人・法人の投資を後押しする改正が目立ちました。
特にiDeCoに関し、第2号被保険者(会社員・公務員)の拠出限度額が月額62,000円へ引上げられたのは歓迎すべきです。
一方、退職所得控除に係る減額調整の範囲が支給後4年内から9年内へ厳しくなった点は注意が必要です。

エンジェル税制については、譲渡益発生の翌年までに再投資すれば還付を受けられるよう改善されました。
こちらに関しても、翌年末までの保有期間要件が設けられるなど留意点があります。

2026年改正ではこどもNISAが新設

来年の税制改正では、以下が挙げられています。
● こどもNISAの新設
● 暗号資産が分離課税に
● ミニマムタックス課税の拡充
● ふるさと納税に上限設定

こどもNISAは年間60万円、最大600万円の投資枠が予定されています。
ジュニアNISAと比較して使い勝手が改善されている点も見られ、注目を集めています。

投資事業有限責任組合の経産省モデル契約が新たに公表

投資事業有限責任組合のモデル契約(令和7年版)が経産省から公表されました。
様々な類型のファンドを想定した汎用的な構成となり、また近年の法改正や税制動向にも対応しています。

より汎用的な構成に、外国投資家の参加も想定

  想定利用者 今後の位置づけ
平成22年版 ファンド類型を特定せず 令和7年版に引き継がれる
平成30年版 ベンチャー・キャピタル(VC) VC向けとして今後も活用
令和7年版 PEファンド含む汎用型
外国投資家も想定
平成22年版の後継

令和7年度版のモデル契約は5分冊構成で、英文版やその解説も充実しています。
また、外国LP条項として、PE課税特例や源泉徴収、FATCA/CRSに関する対応方針も記載されています。

LPS法改正やキャリード・インタレストにも対応

条文の構造に関しても、種々の変更や改正対応がなされています。

変更点 内容
LPS法改正の反映 暗号資産、合同会社持分、公正価値評価監査の意見範囲海外投資比率の見直し
GPの支配権変更対応 GPの支配権変更時に投資期間中断・早期終了等を可能とする規定を整備
借入・担保条項 キャピタルコール権や組合財産を担保とする借入
共同投資ファンド 1件あたりの投資上限額を超える投資機会が生じた場合、共同投資ファンドを別途組成
四半期報告 従来は半期報告としていた財務情報の開示の想定頻度を四半期へ
キャリード・インタレスト GPが取得するキャリード・インタレストの設計を選択肢として想定
評価準則や指標の削除 従来は別紙として記載していた投資評価準則や累積IRRを削除

キャリード・インタレスト(持分に基づく分配)については、2021年の国税庁情報を踏まえ、経済合理性を満たすための要件にも言及しています。
①組合契約に定めている分配条件が恣意的でないこと
②組合契約の内容が一般的な商慣行に基づいていること
③ファンドマネージャー(役職員)が投資組合事業に貢献していること

(参考)
(2021/4/1) 国税庁「キャリード・インタレストを受け取る場合の所得税基本通達36・37共-19の適用について」

なお、従来は契約書別紙として設けられていた投資評価準則や累積内部収益率(IRR)が削除されました。
LPS会計規則の改正により、公正価値(時価)評価が原則的な評価方法とされたことに伴い、評価準則を別紙記載する必要性が低下し、契約書本文の会計条項で柔軟な選択肢が示されています。
また、指標の算定方法は、画一的にIRRを用いるのではなく、各ファンドで個別に定めるべき事項とされたものと考えられます。

投資事業有限責任組合の組成にあたって、近年の動向を反映した設計にしたい場合には特に有用なモデル契約といえるでしょう。

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