ファンド監査の新しい監査報告書様式が公表

ファンド監査や年金監査といった特別目的の決算書等に対する監査について、新しい監査報告書の様式が公表されました。
公認会計士協会のHPで新様式を見ることができます。

匿名組合の監査報告書が例示

以前コラムで、目的や利用者が限定された決算書等について、特別目的の財務報告として監査のアプローチを区分する方針を取上げました。
ファンド監査はこれに該当することが多いと考えられ、今回公表された監査基準では匿名組合の監査報告書が例示として記載されています。
従来の監査報告書と比較すると、いくつかの点で違いが見られます。

ポイント①特別目的か一般目的か
決算書等が特別目的の場合、監査意見の下に以下のような記載がなされます。
「匿名組合出資者に提出するために営業者により作成されており、それ以外の目的には適合しないことがある。」

ポイント②準拠性監査か適正性監査か
特別目的の監査においては、特定の規則や契約に準拠しているか検討する「準拠性監査」となることが多いと思われます。
この場合、監査意見は「匿名組合契約~条の取決めに準拠して作成されているものと認める。」と表明するに留まります。
一方、従来の適正性監査であれば、この先に「すべての重要な点において適正に作成されている」といった意見が続きます。

ポイント③監査報告書の配布や利用が制限されているか
配布や利用に制限がある場合、監査意見の下に以下のような記載がなされます。
「営業者と匿名組合出資者のみを利用者として想定しており、営業者及び匿名組合出資者以外に配布及び利用されるべきものではない。」

匿名組合や投資事業有限責任組合といったファンド監査について、この新しい様式の監査報告書を今月から早期適用することが可能です。

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