2024年投資事業有限責任組合における会計上及び監査上の取扱いの改正

「投資事業有限責任組合における会計上及び監査上の取扱い」が今年に入って2回改正されています。
LPS会計規則やLPS法の改正があったため、これらに対応しました。

LPS会計規則の改正により公正価値評価が原則に

2023年12月にLPSの会計規則が改正され、非上場株式を原則として公正価値評価することが定められました。

関連コラム:
(2024/9/30) 投資事業有限責任組合は公正価値評価が原則に

これと整合させるべく、公認会計士協会は2024年6月21日、「投資事業有限責任組合における会計上及び監査上の取扱い」の改正を公表しました。

主な変更点は以下の通りです。
● 時価の定義を公正価値と明確化
● IPEVガイドライン採用時の公正価値の見積りに係る監査上の留意事項を新設
(改正前は付録8に記載)
● 附属明細書「1.投資の明細」、「3.組合員の持分に関する明細」における期末時価を削除

2024年10月1日以後に開始する事業年度から適用されます。

LPS法の改正により監査意見の範囲等が修正

LPS法(投資事業有限責任組合契約に関する法律)も2024年6月に改正がありました。
これに伴い2024年9月17日、今年2回目となる「投資事業有限責任組合における会計上及び監査上の取扱い」の改正が公表されました。

今回の変更点は主に以下の通りです。
● 監査意見及びその他の記載内容の範囲に関する修正
● 業務報告書に記載された重要な後発事象を財務諸表においても注記
(業務報告書が監査意見の対象外になったため)
● 中間財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則の廃止に伴う修正

1点目について、業務報告書が監査意見の対象外とされ、その他の記載内容に含まれることとされました。
会社法において事業報告書が監査意見の対象外である点と整合的になりました。

  改正前 改正後
B/S及びP/L 監査対象 同左
重要な会計方針
及びその他の注記
監査対象 同左
業務報告書 監査対象 その他の記載内容
(意見範囲の対象外)
附属明細書 会計に関する部分:監査対象
会計に関する部分以外:その他の記載内容
B/S及びP/Lに係るもの:監査対象
B/S及びP/Lに係るもの以外:その他の記載内容

こちらに関しては、2024年9月2日以後開始する事業年度から適用されます。