投資事業有限責任組合の海外投資制限が緩和

2024年は投資事業有限責任組合(LPS)に関する法律や会計規則の改正が相次ぎました。
会計面では、公正価値評価が原則とされた他、監査意見の範囲に係る修正もありました。

更に運用面でも、海外投資規制が緩和されるなどの法改正が行われています。

実質支配する外国株式投資は制限対象外に

LPSには、外国法人の株式等への出資割合を50%未満としなければならいない制限があります。
日本の経済活力の向上が元々の制度趣旨として掲げられているためです。
この出資割合は、海外投資額が総組合員の出資履行金額総額に占める割合とされています。

2021年の法改正により、産業競争力強化法に基づく海外投資規制の特例が設けられました。
LPSが経済産業大臣の認定を受けて行う一定の海外投資は、50%比率規制の適用が除外されます。

更に2024年の改正により、国内事業者が経営を実質的に支配し、または経営に重要な影響を及ぼす外国法人も、50%比率規制の対象となる外国法人の範囲から除外されました。
LPSを活用した海外事業投資の促進を図ったものです。

関連コラム:
(2024/9/30) 投資事業有限責任組合は公正価値評価が原則に
(2024/10/31) 2024年投資事業有限責任組合における会計上及び監査上の取扱いの改正

暗号資産や合同会社の持分もLPSの投資対象に

その他の改正事項として、LPSの投資対象が拡大しました。
暗号資産及び合同会社の出資持分が対象に追加され、スタートアップへの投資環境が改善されました

なお、LPSは法人格を有しないため、合同会社の社員にはなれません。
よって、代わりに無限責任組合員が合同会社の定款や登記簿謄本に記載されることになります。

今回の法改正により、LPSによる事業展開の幅が広がることが期待されます。