投資事業有限責任組合の源泉徴収①

ファンドでは、源泉徴収が資金繰りや投資家の利回りを左右することがあり、これをどのように処理するかが重要なポイントになります。
今回は、投資事業有限責任組合の源泉徴収について考えたいと思います。

投資事業有限責任組合の利益分配に対する源泉徴収は原則不要

投資事業有限責任組合の場合、個々の組合員が損益の帰属主体であり、組合はその集合と位置付けられます。
よって、「誰かから誰かへ分配を行う」という考え方ではないため、原則として組合利益の分配金に対して源泉徴収はありません。

但し、組合員が非居住者等(非居住者または外国法人)で恒久的施設を有する場合、20%の源泉徴収が必要になります。
源泉徴収の時期は金銭を交付した日であり、金銭の交付がない場合には期末から2ヶ月となります。
この場合であっても、一定の要件を充たした組合員は、所轄税務署長より免除証明書の交付を受け、それを提示することで源泉徴収は免除されます。

なお、民法上の任意組合や有限責任組合(LLP)についても、基本的に投資事業有限責任組合と同様と考えますが、匿名組合の源泉徴収については取扱が異なるため、この点はまた別の機会に取上げたいと思います。

関連コラム:
(2014/3/16) 投資事業有限責任組合の源泉徴収②
(2014/3/23) 匿名組合の源泉徴収

投資事業有限責任組合を活用したベンチャー投資で8割が損金に

投資事業有限責任組合を活用するベンチャー投資促進税制が、平成26年度税制改正により創設されました。
ファンドへの追い風となるか注目されています。

ベンチャー投資促進税制の概要

この制度は、法人が投資事業有限責任組合(LPS)を通じてベンチャー企業の株式に出資した場合、株価の80%を準備金方式で損金算入できるというものです。

ベンチャー投資促進税制

当該準備金は翌期に取崩して益金算入されますが、翌期末に再度積立てることが可能で、株式を保有している限り、ファンドの存続期間中その益金を繰延べることができます。

投資事業有限責任組合のポイント

● 平成26年4月1日~平成29年3月31日までに、産業競争力強化法に定める投資事業計画について認定を受けた投資事業有限責任組合が対象

● 法人は有限責任組合員に限られる

● 適格機関投資家の場合は株式等を簿価20億円以上有し、投資事業有限責任組合への出資予定額が2億円以上であること

その他にもファンドの投資先や適格機関投資家についていくつかの条件はありますが、この制度の創設により投資事業有限責任組合を活用してファンドの設立や投資が活発になることを希望します。

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