適格機関投資家等特例業務の見直し、ファンド設立のハードル上昇へ

「適格機関投資家等特例業務の見直し案」が先月5月に金融庁から公表されました。
ファンド設立に大きな影響を与える改正として波紋を呼んでいます。

個人は資産1億円以上の投資家に限定

ファンドを設立し運用するには、第二種金融商品取引業や投資運用業への登録が必要になります。
但し、適格機関投資家等特例業務を適用すれば、これらの登録がなくてもファンド設立が可能でした。

しかしこの特例により設立・運用されるファンドについて、2014年8月1日以降は購入できるのが以下に限定されることになる模様です。
● 資本金が5千万円を超える株式会社、上場会社
● 投資資産を1億円以上保有かつ証券口座開設後1年経過した個人
● ファンド運用者、及びその役員・使用人・親会社
● 外国法人 等

こうした規制案の背景には、昨今ファンドの悪用により一般投資家が被害に遭う事例が後を絶たないことから、ファンドの販売先を一定の投資判断能力を有する者に限定すべきとの考えがあります。

一方で、独立系のファンドマネージャーがファンドを組成する場合、実績面から当初は必然的に個人投資家がターゲットとなりがちです。
今回の規制強化は、こうした個人中心のファンドにとって厳しい制約と考えられます。

独立系ファンド含め、投資の多様性や選択肢の広さは、社会全体にとって非常に大切なことであると思います。
今後はファンドオブファンズの形で代替されるのか影響が注視されていますが、私たち悠和会計事務所も投資機会の向上に尽力したいと考えます。

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