定額法に統一、ファンドにも影響?

ファンドの多くは不動産や設備に投資するため、減価償却費は無視できません。
先月政府税制調査会より、減価償却制度について定額法に統一する方向で大方合意したとの発表がありました。
来月6月までに政府税調が提示する法人税改革案の中に盛込まれる見通しです。

ファンド + オペレーティング・リースのスキームに打撃?

機械装置や車両について、現状では定率法と定額法が認められており、定率法の場合は定額法の2.0倍の償却率が適用されます。

この定率法の「資産購入当初の償却負担が大きい」という性質を利用し、ファンドとオペレーティング・リースを組合わせて節税を図るスキームがあります。
簡単に言えば、ファンドが高額の航空機や船舶を購入し、定率法償却費や借入利息によってファンド設立当初に損失が出るよう設計して、当該損失を投資家が取込むというスキームです。
本業で多額の所得が予想される投資家にとっては、節税(課税の繰延)が可能となります。

今後定率法が認められなくなった場合、ファンド設立期に償却費による損失が見込めなくなるため、このスキームのメリットが低下することになります。

定額法への統一時期は未定

定額法への一本化案を含む法人税改革案がどこまで実現するかについては、法人税率の引下げに関する方針に左右されると考えられます。
来年度税制改正に向けて、具体的にどのように反映されるか注視したいと思います。

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