2019年のファンド・投資環境は、高い株価と安定的な為替に支えられて概ね平穏に推移しました。
ファンドの税制や会計に関しても目立った改正はなく、ファンド組成に関するご相談もオーソドックスな案件が多かった年と言えそうです。
2019年は特に大きな改正点はなし
2019年改正項目 | 影響 | 内容 |
○ 不動産取得税、登録免許税の軽減延長 | 不動産 | 特定目的会社や投資法人等の軽減税率が延長 |
× 太陽光発電設備の即時償却規制強化 | 太陽光 | 売電の割合が2分の1超の発電設備は対象外に |
- ビットコイン等の税務・会計方針が明確化 | 全般 | 税務上の法定評価方法は総平均法に |
不動産取得税、登録免許税の軽減措置は予想通り2年延長されました。
関連コラム:
(2019/9/12) 2019年ファンド税制 ~不動産取得税、登録免許税の軽減延長~
一方、太陽光発電設備の即時償却に関して、ますます制限が強くなりました。
売電の割合が2分の1超と見込まれる発電設備について、2019年4月以降中小企業経営強化税制の対象設備から除外されました。
この他、ビットコイン等の暗号資産(仮想通貨)について、取扱いがより明確化されました。
税務面では、2つの評価方法(総平均法または移動平均法)のうち、総平均法が法定評価方法とされました。
会計においては、「仮想通貨交換業者の財務諸表監査に関する実務指針」の改正草案が公表されています。
2020年は海外不動産や金・地金売買による節税封じ込めへ
今年は税制面で動きがなかった反面、来年2020年は投資方針に大きな影響を与える改正が目白押しとなりそうです。
● 海外中古不動産の減価償却による節税スキームの規制
● 金・地金の売買による消費税還付スキームの規制
● NISA制度の拡充
● ベンチャー投資税制(エンジェル税制)の見直し
特に海外不動産投資は個人富裕層にとって王道の節税スキームであっただけに、改正の具体的内容が注視されています。
投資やファンドの組成は、無理な節税を狙うのではなく、利回りとリスクを吟味して行う健全な姿勢が今後はより重要になると考えます。