2021年税制改正で創設された中小企業事業再編投資損失準備金制度(経営資源集約化税制)が、今回の税制改正で延長・拡充されました。
一定の要件を満たせば、株式購入額の最大100%を損金算入することが可能です。
中小企業による株式取得M&Aで最大100%が損金に
中小企業事業再編投資損失準備金は、株式購入スキームにおいてのみ適用されます。
買手企業が簿外リスク等に備えて投資損失準備金を積立てた場合、従前は取得価額の最大70%を損金計上することが可能でした。
関連コラム:
(2021/6/28) 2021年ファンド・投資税制② ~中小企業M&Aで株式購入額の7割損金に~
今回の改正により以下の通り見直されます。
● 2027年3月31日まで3年間延長
● 表明保証保険契約を締結している場合は適用不可
● 拡充枠の創設(下表参照)
現行枠 | 拡充枠 (現行枠と併用可) |
|
積立金額の上限 (損金割合) |
株式購入価額の70% | 初回M&A:株式購入価額の90% 2回目以降:株式購入価額の100% |
対象株式 | 10億円以下 | 1億円~100億円 |
適用対象者 | 中小企業者 | 中小企業者または中堅企業で 過去5年以内にM&Aを行った者 |
認定を受ける計画 | 経営力向上計画 (中小企業等経営強化法) |
特別事業再編計画 (産業競争力強化法) |
据置期間 | 5年 | 10年 |
オープンイノベーション促進税制も2026年3月まで延長
なお、株式投資を支援する税制として、オープンイノベーション促進税制もあります。
関連コラム:
(2023/7/31) 2023年ファンド・投資税制② ~M&Aでも25%所得控除が可能に~
一定の要件を満たす株式投資に対し、取得価額の25%を所得控除することができる制度です。
中小企業事業再編投資損失準備金制度と異なり、新規出資(増資引受)にも適用されます。
こちらも2026年3月31日まで延長されており、場面によって両制度を上手に選択して活用することが望ましいと考えます。