2015年ファンドを取巻く税制①~税制改正のプラス項目~

ファンド・投資環境にとって先日公表された平成27年度税制改正がどのように働くのか、まずはプラスとなる項目を整理したいと思います。

ジュニアNISAの創設、非課税枠拡大等

ジュニアNISAの創設により、未成年にも毎年80万円を上限として上場株式等の配当及び譲渡所得の非課税枠が与えられます(2016年以降)。

ジュニアNISA
通常のNISAについては、年間投資上限額が100万円から120万円に引上げられます(2016年分以降)。

また、2015年以降は1年単位で金融機関を変更できることになりました(従来は4年単位)。

即時償却延長も、太陽光設備は除外

グリーン投資減税として即時償却できる措置が1年延長されました。
ただし太陽光発電設備は延長対象から外れ、2015年3月末までとなります。

その他の項目として、エンジェル税制の適用対象となる会社の範囲が拡大されました。
高度な医療技術や付加価値の高い農林水産物の研究開発を行う会社、雇用創出事業を営む会社等が加えられています。

即時償却の延長対象から太陽光発電設備が外れたのは太陽光ファンドにとってもマイナスですが、生産性向上設備税制に基づく即時償却も活用してゆきたいと思います。

「ファンド・組合」に関連するコラム:

(2014/12/31) 2014年ファンド・投資環境の変化
(2014/11/4) 来年の税制改正でNISAや太陽光ファンドは?
(2014/7/13) NISAの注意点
(2014/6/8) 適格機関投資家等特例業務の見直し、ファンド設立のハードル上昇へ

来年の税制改正でNISAや太陽光ファンドは?

ファンドや投資環境に大きな動きがあった今年も、残すところあと2ヶ月となりました。
12月に入れば、平成27年度税制改正大綱の取りまとめが行われるものと予想されます。
ここで、8月に各府省庁から提出された税制改正要望のうち、ファンドや投資に関係ありそうな項目を見てみたいと思います。

ジュニアNISAの創設?

金融庁は、0歳~19歳の未成年者でも口座開設を認める「ジュニアNISA」の創設を要望しています。
資金拠出や運用は親権者等を想定しているようです。
他にも、投資上限額を年間120万円へ引上げる等、使い勝手の向上を図る内容が見られます。

以前NISAの注意点を取上げましたが、こういった新制度では思わぬ落とし穴がありがちですので注視したいと思います。

太陽光等についても税制優遇を

太陽光については、即時償却の適用期限を1年間延長し、2016年3月までとする要望が環境省や経産省から出されました。

その他、金融庁と環境省から、投資法人(REIT)のペイスルー課税拡充が求められています。
具体的には、投資法人が再生可能エネルギー発電設備にペイスルー課税を適用できるのは2017年3月末までに取得したものに限定するといった要件の撤廃を挙げています。

電力会社の買取問題等で揺れる太陽光ですが、今も太陽光ファンドの設立や既存ファンドへの設備売却に関する問合せがあります。
税制による一層のサポートが期待されます。

「ファンド・組合」に関連するコラム:

(2014/10/13) ファンドの不動産流動化指針を改正へ
(2014/7/13) NISAの注意点
(2014/6/30) 2014年上半期ファンド・投資環境の変化
(2014/6/8) 適格機関投資家等特例業務の見直し、ファンド設立のハードル上昇へ
(2014/4/13) エンジェル税制見直し、個人のベンチャー投資促進へ

簡易みなし仕入率の経過措置は今月末まで

以前取上げた通り、不動産ファンド等が消費税の簡易課税を選択する場合、2015年4月以降はみなし仕入率が10%引下げられます。
但し、これには経過措置が設けられており、今月末までに届出書を出せば2年間は従来の仕入率を適用することができます。

今月末までに届出書提出で2年間現行税率

2015年4月以降、みなし仕入率は以下の通り10%引下げられ、簡易課税を適用している不動産SPC等にとっては税負担が増加します。
簡易課税のみなし仕入率
なお、来月10月以降に届出を出した場合は、2015年4月以後に開始する事業年度から改正後のみなし仕入率が適用されます。

しかし、2014年9月までに簡易課税選択届出書を提出した場合、それが適用される当初2年間は現行の仕入率で計算できます。

また、既存の不動産ファンド等がいったん簡易課税不適用届出書を提出し、その後すぐ簡易課税選択届出書を出し直すといった”抜け道”的な行為を行ったとしても、改正後のみなし税率が適用されることになると考えられます。

消費税は、不動産SPCを始めとするファンド・組合の実質利回りを決定する最も重要な要素です。
ファンド設立時には、今回のような税制改正や経過措置に特に注意したいと考えます。

関連するコラム:

(2014/2/2) ファンド設立における不動産取得税(5分の3控除)
(2014/1/26) 投資事業有限責任組合を活用したベンチャー投資で8割が損金に
(2014/1/19) 簡易課税のみなし仕入率引下げ

エンジェル税制見直し、個人のベンチャー投資促進へ

先週政府より、個人投資家のベンチャー投資を税制面から支援する「エンジェル税制」の拡充検討が発表されました。

設立後3年未満→5年未満のベンチャー企業へ対象拡大

エンジェル税制では、個人投資家がベンチャー企業に投資する時点で、その投資家の所得税を減税する措置が設けられています。
この優遇措置は、ベンチャー企業が設立後3年未満の場合と10年未満の場合の2種類があります。
エンジェル税制

今回は、設立後3年未満の場合(上図A)の使い勝手を見直す方針で、以下のような案が検討されているとのことです。
● ベンチャー企業の要件:設立後3年未満→5年未満へ延長
● ベンチャー企業の要件:営業キャッシュフロー赤字要件を撤廃(黒字でも可能に)
● 所得から控除できる投資額の上限:現行(総所得金額の40%と1,000万円のいずれか低い金額)から引上げ

投資事業有限責任組合による投資でも適用可

エンジェル税制は、個人投資家が投資事業有限責任組合等のファンドを通じてベンチャー企業に投資する場合でも、適用することができます。
今回の見直しにより、個人投資家によるベンチャー投資の促進が期待されています。

関連するコラム:

(2014/1/26) 投資事業有限責任組合を活用したベンチャー投資で8割が損金に

 

ファンド設立における不動産取得税(5分の3控除)

ファンド設立に関する税務にとって、もう1つ良い情報を取上げたいと思います。

特定目的会社(TMK)、投資法人(Jリート)、投資信託等が負担する不動産取得税は、本来の不動産価格の5分の2相当をベースに計算できる特例が設けられています。 
このファンド組成に有利な特例が、平成25年度の税制改正により2年延長され2015年3月31日まで適用できることとなりました(地法附則11③~⑤)。

ファンドの収支に対して、不動産取得税や固定資産税といった税金コストが与える影響は決して小さくありません。
このような税制特例は、ファンド設立を検討する上で大変ありがたいサポートになると考えられます。

関連記事:

(2014/1/26) 投資事業有限責任組合を活用したベンチャー投資で8割が損金に

1 3 4 5 6 7 8 9