投資事業有限責任組合等のファンド監査報酬(2023年度)

ファンド監査の報酬等について、公認会計士協会が2023年度の状況を公表しました。
投資事業有限責任組合、特定目的会社ともに件数及び平均報酬額の増加が続いています。

投資事業有限責任組合、特定目的会社ともに件数及び報酬水準が伸びる

2023年度(2023年4月期~2024年3月期)におけるファンド監査の報酬水準は下表の通りです。

ファンド監査報酬の平均は投資事業有限責任組合が約130万円、特定目的会社が約190万円と、いずれも前年比でわずかに増加しました。
またファンド監査の件数も、投資事業有限責任組合が1,587件(前年比+177件)、特定目的会社も761件(前年比+67件)といずれも増加しています。

インフレの影響は監査業界にも及んでいます。
人手不足、システム投資の負担増といった傾向は今後も続くと予想され、監査報酬が大きく下がることは当面はなさそうです。

投資事業有限責任組合等のファンド監査報酬(2022年度)

ファンド監査の報酬等について、公認会計士協会が2022年度の状況を公表しました。
投資事業有限責任組合、特定目的会社ともに件数及び平均報酬額の増加が続いています。

投資事業有限責任組合、特定目的会社ともに件数及び報酬水準が伸びる

2022年度(2022年4月期~2023年3月期)におけるファンド監査の報酬水準は下表の通りです。

ファンド監査報酬(2022年度)

ファンド監査報酬の平均は投資事業有限責任組合が約130万円、特定目的会社が約180万円と、いずれも前年比で増加しています。

またファンド監査の件数も、投資事業有限責任組合が1,410件(前年比+127件)、特定目的会社も694件(前年比+88件)といずれも増加しています。
一方、収益規模10億円以上の投資事業有限責任組合については、99件(前年比▲36件)と減少しました。

監査報酬の増加要因として、一部の大型案件が平均値を押し上げている可能性もありますが、それよりもインフレによる監査コストの上昇が影響しているように思われます。
多くの業種と同様、監査業界でも大手・中小問わず人手不足が深刻化しています。
監査報酬の増加傾向も当面続く可能性があります。

投資事業有限責任組合等のファンド監査報酬(2021年度)

ファンド監査の報酬等について、公認会計士協会が2021年度の状況を公表しました。
投資事業有限責任組合、特定目的会社ともに件数が2年連続で前年度比1割以上増加しています。

投資事業有限責任組合、特定目的会社ともに大幅増加

2021年度(2021年4月期~2022年3月期)におけるファンド監査の報酬水準は下表の通りです。

ファンド監査報酬(2021年度)

ファンド監査報酬の平均は投資事業有限責任組合で約120万円、特定目的会社で約160万円と、
いずれも前年比で若干増加しています。
またファンド監査の件数は、投資事業有限責任組合が1,283件(前年比+150件)、特定目的会社も606件(前年比+88件)といずれも1割以上増加しています。

新型コロナウィルス感染症の影響を残しながらも、経済や投資の流れは活発化しつつあります。
海外投資家も訪日して国内の企業や不動産を直接目にすることで、投資意欲が高まっていると推測されます。
加えて、為替相場の円安も後押ししているでしょう。
景気減速や政情不安等の懸念はありますが、ファンドの設立も堅調に推移しています。

投資事業有限責任組合等のファンド監査報酬(2020年度)

ファンド監査の報酬等について、公認会計士協会が2020年度の状況を公表しました。
投資事業有限責任組合、特定目的会社ともに件数が前年度比で1割以上増加しました。

投資事業有限責任組合、特定目的会社ともに大幅増加

2020年度(2020年4月期~2021年3月期)におけるファンド監査の報酬水準は下表の通りです。

ファンド監査報酬(2020年度)

ファンド監査報酬の平均は投資事業有限責任組合で約120万円、特定目的会社で約160万円と、
いずれも前年比で若干増加しています。

そしてファンド監査の件数は、投資事業有限責任組合が1,133件(前年比+147件)と、ついに1,000件を突破しました。
また、特定目的会社も518件(前年比+82件)と2割近く増加しています。

新型コロナウィルス感染症の影響は依然として懸念されますが、経済活動は正常化に向けて動き始めています。
足元では入国規制緩和が進み、海外投資家による日本の不動産への投資も再開されています。
ファンドの設立も一層増えていくことが予想されます。

投資事業有限責任組合等のファンド監査報酬(2017年度)

ファンド監査の報酬等について、公認会計士協会が2017年度の状況を公表しました。
件数別では、投資事業有限責任組合は増加傾向が続いていますが、特定目的会社はやや減少となっています。

投資事業有限責任組合、特に小型案件が増加

2017年度(2017年4月期~2018年3月期)におけるファンド監査の報酬水準は下表の通りです。

ファンド監査報酬の平均は投資事業有限責任組合で約100万円、特定目的会社で約130万円となりました。
いずれも前年比で増加しています。

また、ファンド監査の件数については、投資事業有限責任組合が794件(前年比+37件)となりました。
投資収益(売上高)10億円未満の投資事業有限責任組合は700件台に乗りました。
ベンチャーファンドを設立する場合の選択肢として、投資事業責任組合の人気は根強いことが窺えます。
また、不動産特定共同事業法の改正スキームに活用できることからも、注目を集めています。

他方、特定目的会社は418件(前年比▲6件)と伸び悩んでいます。
不動産ファンド自体は活況であるものの、匿名組合(TK-GK)や不動産特定共同事業法スキームに押されていることが予想されます。

今年は不動産ファンドやベンチャーファンドの設立のご相談が多く、反面仮想通貨に関連するお問合せは減少しています。
皆様の関心の高い投資対象や、それに関する税務・法務の改正はしっかり注目したいと考えます。

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