来年の税制改正でNISAや太陽光ファンドは?

ファンドや投資環境に大きな動きがあった今年も、残すところあと2ヶ月となりました。
12月に入れば、平成27年度税制改正大綱の取りまとめが行われるものと予想されます。
ここで、8月に各府省庁から提出された税制改正要望のうち、ファンドや投資に関係ありそうな項目を見てみたいと思います。

ジュニアNISAの創設?

金融庁は、0歳~19歳の未成年者でも口座開設を認める「ジュニアNISA」の創設を要望しています。
資金拠出や運用は親権者等を想定しているようです。
他にも、投資上限額を年間120万円へ引上げる等、使い勝手の向上を図る内容が見られます。

以前NISAの注意点を取上げましたが、こういった新制度では思わぬ落とし穴がありがちですので注視したいと思います。

太陽光等についても税制優遇を

太陽光については、即時償却の適用期限を1年間延長し、2016年3月までとする要望が環境省や経産省から出されました。

その他、金融庁と環境省から、投資法人(REIT)のペイスルー課税拡充が求められています。
具体的には、投資法人が再生可能エネルギー発電設備にペイスルー課税を適用できるのは2017年3月末までに取得したものに限定するといった要件の撤廃を挙げています。

電力会社の買取問題等で揺れる太陽光ですが、今も太陽光ファンドの設立や既存ファンドへの設備売却に関する問合せがあります。
税制による一層のサポートが期待されます。

「ファンド・組合」に関連するコラム:

(2014/10/13) ファンドの不動産流動化指針を改正へ
(2014/7/13) NISAの注意点
(2014/6/30) 2014年上半期ファンド・投資環境の変化
(2014/6/8) 適格機関投資家等特例業務の見直し、ファンド設立のハードル上昇へ
(2014/4/13) エンジェル税制見直し、個人のベンチャー投資促進へ

ファンドの不動産流動化指針を改正へ

先日公認会計士協会より、「特別目的会社を活用した不動産の流動化に係る譲渡人の会計処理に関する実務指針」及びそのQ&Aの改正案が公表されました。

● 不動産の売却処理に係るリスク割合について、経過措置(10%基準)の削除
● 不動産の流動化取引の更新時の適用及び会計処理の明確化
● その他字句・体裁等の修正

不動産流動化の5%ルールは健在

上記1点目について、不動産をファンド(特別目的会社)に譲渡する際、リスク及び経済価値のほとんどがファンドに移転すれば、譲渡人は当該不動産を売却したものとして処理することができます。
すなわち、不動産を貸借対照表から切離し、売却損益を計上することができるため、この「リスク及び経済価値のほとんどが移転」したかどうかが重要なポイントになります。

そして、譲渡人は(リスク負担額 ÷ 不動産時価)がおおむね5%以内であれば、リスク等がほとんど移転したとして売却処理が可能となります。
例えば譲渡人が不動産引渡後もファンドに出資する場合、その投資額が時価の5%を超えていれば売却したことにはならず、また買戻し義務を負っているような場合も同様です。
不動産流動化の5%ルール
不動産市況は好転の兆しを見せ、ファンド設立・組成も増え始めてきました。
会計基準や指針についても、今一度確認・検討していきたいと考えます。

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NISAの注意点

最近よく話題に挙がるNISA(少額投資非課税制度)。
ファンドや投資に関係する方以外の方達からも「実際投資としてどうなんでしょう?」と聞かれることが多くなりました。
NISA

損益通算や5年後に注意

「年間100万円の投資額の範囲内で投資後5年間は売却益や配当金が非課税」というメリットは知られています。
ではいざ投資するにあたり注意する点として、以下が挙げられます(本コラム掲載時点)。

● NISA口座で生じた売買損失は、他の口座との損益通算や繰越が不可
● 5年後の満期時点で生じている含み損失は実質切捨て(翌年に100万円枠があれば引継ぎ可)
● 分配再投資で100万円を超えたら課税
● 投資対象は国内外株式・ETF・REIT等、公社債や公社債投信は対象外
● 口座開設する金融機関が銀行等の場合、投信のみで株式を取扱っていない
● 配当金の受取方法は株式数比例配分方式を選択する

1点目と2点目は思わぬ落とし穴となりがちです。
また最後の配当について、配当金領収証方式や登録配当金受領口座方式を選んだ場合は非課税とならず20.315%が課税されるので、申込み時に注意が必要です。

ファンド投資の補完となるか

適格機関投資家等特例業務の見直しにより、今後は小規模の個人投資家にとってファンドへ投資することが難しくなりそうです。
NISAについては現行の投資枠100万円の拡大や非課税期間5年の延長が検討されており、ファンド投資の補完という意味も含め、個人投資の活発化へ繋がることを希望します。

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2014年上半期ファンド・投資環境の変化

ファンドや投資を取巻く環境は、今年に入って有利な方向にも不利な方向にも大きく動いているように思われます。
前回のコラムでは、規制強化案が施行された場合、特に個人投資家層に向けたファンド設立や運用が難しくなることを取上げました。
この点も含め、この上半期の変化について法令や税制を中心に整理してみます。

適格機関投資家等特例業務の見直しは大きな痛手か

2014年上半期ファンド環境

投資促進税制の創設エンジェル税制の拡充案といった、ベンチャーファンドへの投資を税制面からサポートしようとする動きが見られます。
またファンドとは直接関係ありませんが、NISAの創設も大きな話題となりました。

しかし、適格機関投資家等特例業務の見直し案が8月から適用された場合、投資資産が1億円未満の個人投資家にとってファンドへの投資のハードルは相当上がることになると考えられます。
ようやく経済環境が好転の兆しを見せ投資への機運も高まってきている中で、個人や法人の投資意欲が減退しないよう私たちもファンド設立、監査、会計といった面からより一層サポートしてゆきたいと思います。

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ファンドのトレンド

私が監査法人に所属していた頃、特に2005年以降ベンチャーキャピタルの監査を担当することがよくありました。
ファンドを設立して投資家からお金を募り、上場(IPO)を目指す未公開会社の株式に投資するというもので、主に投資事業有限責任組合(LPS)や任意組合が組成されていました。

ライブドアを始めとして若手経営者が会社を次々と上場させ、ファンドもそういった会社の成長性に投資するための器として盛んに組成されていました。
NHKの「ハゲタカ」というファンドを舞台にしたドラマが人気となり、また会計監査がテーマのドラマ「監査法人」が放映されたのもこの頃だったように思います。

同じ時期、不動産ファンドが活況でした。
地価の上昇に乗ってオフィス、商業施設、レジデンス(住宅)の開発が進み、資金調達の手段として活用されたのが特別目的会社(SPC)でした。
ここでは、金融機関からノンリコース・ローンを調達するため、匿名組合ファンド(TK-GK)特定目的会社(TMK)といった法人格を有するスキームが次々に設立されました。

これらベンチャーキャピタルファンドや不動産SPCはリーマンショック、その後の金融危機により勢いを潜め、替わりに事業再生ファンドが積極的に登場するようになりました。
その特徴としては、単なる資金を調達する器に留まらず、人材(経営陣や監査役)を参画させるケース、政府や自治体がスポンサーとして主導するケース等、案件や目的に応じて多様かつ柔軟なファンド設計が行われていた点が挙げられます。

そして今、株高・地価回復・円安というトレンドの中で、IPOや不動産市場が活気づいてきています。
かつてのように不動産SPCが盛り返すのか、あるいは全く新しいスキームが登場するのか、ファンド監査も変わるのか・・・目が離せないこの頃です。

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