2015年ファンドを取巻く税制③~不動産取得税、登録免許税の軽減~

今回もファンド・投資環境に様々な影響を与えた税制改正。
その他細かい改正項目も追っていきたいと思います。

不動産取得税、登録免許税の軽減措置を延長

特定目的会社、投資信託、投資法人(Jリート)等が物件を取得する際に負担する不動産取得税について、5分の3相当を控除できる特例が2年延長され、2017年3月末までとなりました

不動産特定共同事業法に基づき取得した新築家屋等についても、不動産取得税の2分の1軽減措置が2017年3月末まで延長されました。

また、登録免許税の軽減措置も2017年3月末まで延長されています。
● 所有権移転登記:通常1000分の20 →1000分の13
● 保存登記(不動産特定共同事業法のみ):通常1000分の4 → 1000分の3

なお、軽減措置の対象となる不動産について、従来除かれていた倉庫等の物流施設が加えられました。

ファンドの不動産取得税、登録免許税の軽減措置
ファンド設立の際にはこうした税金コストは無視できません。
軽減措置の延長や倉庫等の追加は、今後のファンドにとってうれしいサポートになります。

関連するコラム:

(2015/2/1) 2015年ファンドを取巻く税制②~税制改正のマイナス項目~
(2015/1/24) 2015年ファンドを取巻く税制①~税制改正のプラス項目~
(2014/12/31) 2014年ファンド・投資環境の変化
(2014/11/4) 来年の税制改正でNISAや太陽光ファンドは?
(2/14/2/2) ファンド設立における不動産取得税(5分の3控除)

2015年ファンドを取巻く税制②~税制改正のマイナス項目~

ファンド・投資環境に追い風となりそうな税制改正項目として、前回はジュニアNISA等を取上げました。今回は、反対に負担増となりそうな項目を見ていきます。

受取配当への課税強化、5%以下と25~33.3%の負担増

受取配当金は出資比率によって課税される割合が異なります。
この受取配当の益金不算入の割合について、出資比率の区分が見直されました。

現行  平成27年度改正
 出資比率 課税割合 負債利子控除  出資比率  課税割合  負債利子控除 
 100%  0%  無  100%  0%  無
 25%~100%  0%  有  33.3%~100%  0%  有
25%未満  50%  有 5%~33.3%  50%  無
5%以下  80%  無

出資比率が5%以下の場合、受取配当金額の80%に対して課税されます。
また、25%~33.3%の場合も、従来非課税であったのが50%課税されるため負担増となります。
この他、証券投資信託の収益分配額が全額課税になる等の改正が行われました。

2015年4月1日以後に開始する事業年度からの適用となります。

国外移住、海外転勤者の株式等含み益にも課税

1億円以上の有価証券等を有する居住者が国外移住や1年以上の海外転勤となった場合、有価証券等を譲渡したとみなして所得税が課税されることとなりました。
非上場株式やストックオプション、匿名組合への出資持分等も対象に含まれます。

本制度は、キャピタルゲインが非課税である国に出国して売却する租税回避行為を防止することが趣旨です。
ただし、未実現の利益(及び損失)に対する課税であることに配慮し、一定の措置が設けられています。
具体的には、納税猶予制度や、5年以内に帰国した場合は課税の取消しが可能とされています。

本制度は2015年7月1日以後の出国者への適用が予定されています。

「ファンド・組合」に関連するコラム:

(2015/1/24) 2015年ファンドを取巻く税制①~税制改正のプラス項目~
(2014/12/31) 2014年ファンド・投資環境の変化
(2014/11/4) 来年の税制改正でNISAや太陽光ファンドは?
(2014/6/8) 適格機関投資家等特例業務の見直し、ファンド設立のハードル上昇へ

2015年ファンドを取巻く税制①~税制改正のプラス項目~

ファンド・投資環境にとって先日公表された平成27年度税制改正がどのように働くのか、まずはプラスとなる項目を整理したいと思います。

ジュニアNISAの創設、非課税枠拡大等

ジュニアNISAの創設により、未成年にも毎年80万円を上限として上場株式等の配当及び譲渡所得の非課税枠が与えられます(2016年以降)。

ジュニアNISA
通常のNISAについては、年間投資上限額が100万円から120万円に引上げられます(2016年分以降)。

また、2015年以降は1年単位で金融機関を変更できることになりました(従来は4年単位)。

即時償却延長も、太陽光設備は除外

グリーン投資減税として即時償却できる措置が1年延長されました。
ただし太陽光発電設備は延長対象から外れ、2015年3月末までとなります。

その他の項目として、エンジェル税制の適用対象となる会社の範囲が拡大されました。
高度な医療技術や付加価値の高い農林水産物の研究開発を行う会社、雇用創出事業を営む会社等が加えられています。

即時償却の延長対象から太陽光発電設備が外れたのは太陽光ファンドにとってもマイナスですが、生産性向上設備税制に基づく即時償却も活用してゆきたいと思います。

「ファンド・組合」に関連するコラム:

(2014/12/31) 2014年ファンド・投資環境の変化
(2014/11/4) 来年の税制改正でNISAや太陽光ファンドは?
(2014/7/13) NISAの注意点
(2014/6/8) 適格機関投資家等特例業務の見直し、ファンド設立のハードル上昇へ

2014年ファンド・投資環境の変化

今年2014年は、大きく見れば円安・株高という流れの中で、ファンドや投資環境としては追い風であった印象を受けます。
しかし、適格機関投資家等特例業務の見直しは来年早々にも動きがあると注目されており、また平成27年度税制改正への対応と年明けは慌ただしくなりそうです。

適格機関投資家等特例業務の見直しは年明けに持ち越しか

今年1年の間でファンド・投資環境に影響を与えた出来事としては、下表の通りになります。
2014年ファンド環境

ファンド設立や運用に大きな影響を及ぼす適格機関投資家等特例業務の見直し案は、特にベンチャー業界からの反発が強く、結局施行が一時見送られました。
しかし、大枠は原案のまま年明けに決まる可能性もあるとの話も聞こえており、何らかの対応は迫られることになりそうです。

また、昨日発表された平成27年度 税制改正大綱にも注意したいと思います。
NISAの非課税枠拡大、ジュニアNISAの創設
受取配当の益金不算入制度の見直し
 即時償却の1年延長、但し太陽光発電設備は除外(2015年3月末で終了) 

来年もファンド監査や設立で皆様をサポートしたいと思います。
どうぞ宜しくお願い申し上げます。

「ファンド・組合」に関連するコラム:

(2014/12/7) 太陽光ファンドの所得区分②
(2014/11/23) 太陽光ファンドの所得区分
(2014/11/4) 来年の税制改正でNISAや太陽光ファンドは?
(2014/6/30) 2014年上半期ファンド・投資環境の変化
(2014/6/8) 適格機関投資家等特例業務の見直し、ファンド設立のハードル上昇へ

太陽光ファンドの所得区分②

太陽光ファンドに個人投資家が投資する場合、前回のコラムでは分配金が事業所得、不動産所得、雑所得のいずれかに区分されることを紹介しました。
ここで、事業所得と雑所得の境目というのが、ファンドであっても個人が直接売電する場合であっても重要なポイントになります。
雑所得では損益通算や即時(一括)償却が適用されない等扱いが大きく異なるため、この判断基準について補足したいと思います。

50kw以上か一定の管理を行っていれば事業所得も

事業事業かそうでないかは、事業として対価を得て継続的に行われているかどうかで判断します。
よって、臨時・単発的に投資や売電をして収益を得る場合は雑所得と考えられます。

そして、「事業として」という点で相応の規模や関与度合が求められますが、不動産のように5棟または10室以上、といった明確な基準はありません。
この点、資源エネルギー庁は個人の全量売電について「出力50kw以上」や「一定の管理を行っていること」を事業所得としての目安に挙げています。

また、過去事業所得か雑所得かで争われた判例では、以下の点が争点となっています。
● ①自己の計算と危険負担、②営利性、③有償性、④反復継続して遂行する意思、⑤社会的地位(昭和56年4月24日)
●自己の計算と危険において営利を目的とし対価を得て継続的に行う経済活動かどうか(昭和53年10月31日)

太陽光ファンドにおいては雑所得になるケースが多いように思われます。
最終的にはそれぞれのケースによって個別検討となるため、規模・営利性・継続性・関与度合を客観的に判断することが第一かと考えます。

関連するコラム:

(2014/11/23) 太陽光ファンドの所得区分
(2014/11/4) 来年の税制改正でNISAや太陽光ファンドは?
(2014/7/13) NISAの注意点
(2014/6/30) 2014年上半期ファンド・投資環境の変化

1 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 25