ファンド設立における不動産取得税(5分の3控除)

ファンド設立に関する税務にとって、もう1つ良い情報を取上げたいと思います。

特定目的会社(TMK)、投資法人(Jリート)、投資信託等が負担する不動産取得税は、本来の不動産価格の5分の2相当をベースに計算できる特例が設けられています。 
このファンド組成に有利な特例が、平成25年度の税制改正により2年延長され2015年3月31日まで適用できることとなりました(地法附則11③~⑤)。

ファンドの収支に対して、不動産取得税や固定資産税といった税金コストが与える影響は決して小さくありません。
このような税制特例は、ファンド設立を検討する上で大変ありがたいサポートになると考えられます。

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ファンドに簡易課税のみなし仕入率引下げが与える影響

昨年末のお話になりますが、平成26年度税制改正大綱が12月24日に閣議決定されました。
消費増税関連はもちろん、他にも大企業でも交際費が50%認められるとか、給与所得控除の上限引下げとか、関心をもった方もいらっしゃるかと思います。

ファンド・組合に関係しそうな改正点といえば、まず消費税の簡易課税制度についてでしょう。
平成27年4月1日以後に開始する課税期間から、みなし仕入率が以下の通り引下げられます。
● 金融業及び保険業:60%→50%
● 不動産業:50%→40%

これにより、不動産SPCが簡易課税を適用することで計算される仕入税額控除の額が、課税売上高の50%→40%へ減少することになります。
例えば、特定目的会社(TMK)匿名組合ファンド(TK-GK)を設立し、賃貸用オフィスを取得したケースを考えます。
賃料収入が年間5千万円で、3年後に簡易課税適用の届出を行った場合、このファンドの消費税額は以下の通り考えられます。

(改正前)50,000,000 ×(1 - みなし仕入率50%) × 10% = 2,500,000
(改正後)50,000,000 ×(1 - みなし仕入率40%) × 10% = 3,000,000

上記の例では、改正前と比べると改正後の不動産SPCの消費税額が500,000円増えることになりそうです。
当然この分だけ収益性が低下することになりますので、ファンド設立や監査の時にスキームを検討する際には十分注意したいと思います。

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