監査提言集、ファンド監査の事例も②

ファンド監査における循環取引が2014年の監査提言集で取上げられたというコラムを以前記載しました。
2011年の監査提言集では、投資事業組合に対する出資の評価について言及されていたのでご紹介します。

ファンドに対する出資・貸付の評価が不十分と判断

本件は、ある会社が投資事業組合等のファンドに対して出資・貸付を行っており、当該会社の監査人はその回収可能性について十分な検討を行っていなかったという事例です。
ファンドへの出資・貸付に係る監査
【監査手続】
● ファンドの決算書や事業計画等のレビュー →実施せず
● ファンド監査人が行った監査手続のレビュー →実施せず
● 経営者とのディスカッション及び経営者確認書の入手 →実施

恐らく、投資会社やファンドに対しヒアリングだけを実施し、「十分な確証を得てはいないけれど、会社の言っていることは本当だろうから多分大丈夫」と判断したのではないかと推測します。
ファンドはそのスキームや投資内容によってはわかりづらいものもあり、監査上アプローチが困難なケースもあります。
しかし、実態がつかみづらいからといって敬遠せず、違和感を感じたらファンド監査人としての確証を得られるまで手続を遂行したいと考えます。

「ファンド監査」に関連するコラム:

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適格機関投資家等特例業務、規制強化は一時中止に

今月8月1日から施行予定とされていた適格機関投資家等特例業務の見直し案ですが、一旦中止となったようです。
ただし、廃案ではなく引続き閣議決定にかけようとする動きはあると聞こえており、何らかのファンド規制が行われる可能性は依然残されていると思われます。

ファンド監査への影響は?

ここで仮に、あるファンドが法令や規制に反して設立されたり、募集・運用を行っていたとします。
この場合ファンド監査において、決算書類が適正であれば法規に反していても問題なしといえるでしょうか?
法規違反はファンド監査では・・・?
たしかに監査報告書では、監査対象は「財務諸表等、・・・(会計に関する部分に限る)」と記載され、実際ファンド監査も法律よりは会計を中心に行います。
しかし、例えば投資事業有限責任組合の監査報告書であれば「投資事業有限責任組合契約に関する法律第8条第2項の規定に基づき・・・」と記載されるように、ファンド監査の根拠が法令等である以上、法規を無視して会計だけをチェックしていればいいとはいえないものと考えられます。

また、ファンド設立や運用に関する規制に違反した場合、金融庁から認可取消しといった処分もあり得ます。
よって、ファンドの将来継続性に影響を及ぼす法規違反を検出したのであれば、投資家に注意を喚起する必要があるでしょう。

今回のファンド規制の行く末は私たちにとっても非常に関心が大きく、引続き注視したいと思います。

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監査提言集、ファンド監査の事例も

2014年監査提言集が先日公認会計士協会より公表されました。
業種ごとのリスクや不適切な取引に対しどのように監査手続を実施すべきか、実際の事案に基づき整理されています。
この監査提言集は毎年7月頃公表されており、2013年や2012年にはファンド監査についても言及しています。

ファンドの預金の実在性が問題に

監査提言集で取上げられていたのは、ファンドを利用して循環取引を行っていた事例です。
ファンドにいったん資金を流してすぐ回収、と経済的には何の効果もない取引を行い、決算書に実態のない投資(資産)と売上を計上するというものでした。
ファンド監査で資産の実在性を

ファンドにおいては、出資金が貸借対照表に預金として計上されたままであり、預金は実際には会社に返還されファンドからなくなっていたことに気づけば架空取引は検出できたと考えられます。
以上から提言集でも、ファンド監査において預金通帳のレビューや銀行への残高確認により預金の実在性を確かめるべきだったとしています。

預金通帳のレビューや残高確認は監査の基礎であり、だからこそ手を抜いてはいけない必須手続であると再認識しました。

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(2014/3/30) ファンド監査の新しい監査基準が公表
(2014/2/23) ファンド監査に関するQ&Aの改正
(2014/2/16) ファンド監査の意見表明に変更?

NISAの注意点

最近よく話題に挙がるNISA(少額投資非課税制度)。
ファンドや投資に関係する方以外の方達からも「実際投資としてどうなんでしょう?」と聞かれることが多くなりました。
NISA

損益通算や5年後に注意

「年間100万円の投資額の範囲内で投資後5年間は売却益や配当金が非課税」というメリットは知られています。
ではいざ投資するにあたり注意する点として、以下が挙げられます(本コラム掲載時点)。

● NISA口座で生じた売買損失は、他の口座との損益通算や繰越が不可
● 5年後の満期時点で生じている含み損失は実質切捨て(翌年に100万円枠があれば引継ぎ可)
● 分配再投資で100万円を超えたら課税
● 投資対象は国内外株式・ETF・REIT等、公社債や公社債投信は対象外
● 口座開設する金融機関が銀行等の場合、投信のみで株式を取扱っていない
● 配当金の受取方法は株式数比例配分方式を選択する

1点目と2点目は思わぬ落とし穴となりがちです。
また最後の配当について、配当金領収証方式や登録配当金受領口座方式を選んだ場合は非課税とならず20.315%が課税されるので、申込み時に注意が必要です。

ファンド投資の補完となるか

適格機関投資家等特例業務の見直しにより、今後は小規模の個人投資家にとってファンドへ投資することが難しくなりそうです。
NISAについては現行の投資枠100万円の拡大や非課税期間5年の延長が検討されており、ファンド投資の補完という意味も含め、個人投資の活発化へ繋がることを希望します。

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2014年上半期ファンド・投資環境の変化

ファンドや投資を取巻く環境は、今年に入って有利な方向にも不利な方向にも大きく動いているように思われます。
前回のコラムでは、規制強化案が施行された場合、特に個人投資家層に向けたファンド設立や運用が難しくなることを取上げました。
この点も含め、この上半期の変化について法令や税制を中心に整理してみます。

適格機関投資家等特例業務の見直しは大きな痛手か

2014年上半期ファンド環境

投資促進税制の創設エンジェル税制の拡充案といった、ベンチャーファンドへの投資を税制面からサポートしようとする動きが見られます。
またファンドとは直接関係ありませんが、NISAの創設も大きな話題となりました。

しかし、適格機関投資家等特例業務の見直し案が8月から適用された場合、投資資産が1億円未満の個人投資家にとってファンドへの投資のハードルは相当上がることになると考えられます。
ようやく経済環境が好転の兆しを見せ投資への機運も高まってきている中で、個人や法人の投資意欲が減退しないよう私たちもファンド設立、監査、会計といった面からより一層サポートしてゆきたいと思います。

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