特定投資事業有限責任組合(再生ファンド)

今年の税制改正でベンチャーファンドの投資促進策として注目される投資事業有限責任組合
平成25年度税制改正では企業再生税制の中で登場しています。

再生ファンドによる債務免除でも税制優遇可能に

事業再生において「一定の私的整理」に該当すれば、債務免除が行われた場合、資産の評価損益の計上及び期限切れ欠損金の優先控除が適用されます。
これにより、再生企業において債務免除益課税を回避することが可能となっています。

但し、この「一定の私的整理」の要件の1つに、「2以上の金融機関等が債務免除等を行うこと」が挙げられています。
事業再生においては、下位の銀行が再生ファンドに債権を売却することがありますが、この結果メインバンク1行と再生ファンドしか残らず、その後で債務免除を行っても「2以上の金融機関等による債務免除」に該当しないという問題がありました。

そこで、債権が再生計画によって投資事業有限責任組合である再生ファンドに譲渡された上で債務免除が行われた場合も、上記税制優遇を受けられるようになりました(措令39の28の2 )。
再生ファンドによる債務免除

再生ファンドによる債務免除が税制優遇対象となるためには、以下の要件を充たす必要があります。
● 再生ファンドが特定投資事業有限責任組合として、内閣総理大臣及び経済産業大臣から指定を受けていること
● 平成25年4月1日~28年3月31日までの間に債務免除等が行われること

既に20件程度の再生ファンドが特定投資事業有限責任組合として指定を受けており、円滑な事業再生の促進が期待されています。

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定額法に統一、ファンドにも影響?

ファンドの多くは不動産や設備に投資するため、減価償却費は無視できません。
先月政府税制調査会より、減価償却制度について定額法に統一する方向で大方合意したとの発表がありました。
来月6月までに政府税調が提示する法人税改革案の中に盛込まれる見通しです。

ファンド + オペレーティング・リースのスキームに打撃?

機械装置や車両について、現状では定率法と定額法が認められており、定率法の場合は定額法の2.0倍の償却率が適用されます。

この定率法の「資産購入当初の償却負担が大きい」という性質を利用し、ファンドとオペレーティング・リースを組合わせて節税を図るスキームがあります。
簡単に言えば、ファンドが高額の航空機や船舶を購入し、定率法償却費や借入利息によってファンド設立当初に損失が出るよう設計して、当該損失を投資家が取込むというスキームです。
本業で多額の所得が予想される投資家にとっては、節税(課税の繰延)が可能となります。

今後定率法が認められなくなった場合、ファンド設立期に償却費による損失が見込めなくなるため、このスキームのメリットが低下することになります。

定額法への統一時期は未定

定額法への一本化案を含む法人税改革案がどこまで実現するかについては、法人税率の引下げに関する方針に左右されると考えられます。
来年度税制改正に向けて、具体的にどのように反映されるか注視したいと思います。

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ファンドの名前

ファンド設立・組成を検討されている方達から、「ファンドの名前はどのように決めたらいいですか?」というご質問を受けることがたまにあります。
そこで、実際にどのようなパターンが多いか整理したいと思います。

1.ファンドマネージャーの会社名 + ●号
「悠和3号投資事業有限責任組合」、「YUWA5号投資ファンド」というパターンは多いように思います。

2.地名を入れる
「丸の内オフィスファンド」、「銀座プロパティ」のように地名をファンド名の一部に入れるケースもよくあります。

3.花や星、植物シリーズ
「ローズ」「ガーベラ」といった花シリーズ、「アルタイル」「パンドラ」といった星シリーズで統一するケースも見られます。

その他にも、投資のコンセプトや運用方針を反映するパターン(「~小型成長株ファンド」)、社長の個人名を英語にする場合(山田さんなら「マウンテンフィールド2号」)など、ある程度自由に名称を決められているようです。
但し、他のファンドや会社と誤認・混同のおそれがないよう注意が必要と考えます。

ちなみに、ファンドのロゴについても一般の会社と同様に作成することもあるようです。
YUWA_Logo_greenYUWA_Logo_blueYUWA_Logo_yellowYUWA_Logo_orange

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ファンド監査の新しい監査報告書様式が公表②

ファンド監査など特別目的の決算書に対する監査について、Q&Aもリリースされました。
前回のコラムでご紹介した新しい監査報告書について詳しく解説しています。

ファンド監査は特別目的の決算書に対する準拠性監査に分類

前回は決算書等が一般目的か特別目的か、監査が適正性か準拠性かといったトピックが出てきて、ピンとこない点もあったかと思います。
これを具体例で整理すれば、下表の通りになります(Q&AのQ5,8参照)。
ファンド監査は特別目的の決算書に対する準拠性監査
具体的な例として見ることで、多少はイメージできたのではないかと思われます。
ファンド監査は、特別目的の枠組で作成される決算書類に対する、準拠性監査に該当することが多いと考えられます。

表の4分類のどれに該当したとしても、監査手続自体は変わることはないといえます(Q11,13参照)。
すなわち、資産・負債・損益等を適切に評価し、決算書に重要な虚偽表示がないか確認する点は共通しています。
但し、監査報告書上で意見を表明するにあたり、前回取上げたポイント①~③を検討・明記することになります。

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(2014/3/30) ファンド監査の新しい監査基準が公表
(2014/2/23) ファンド監査に関するQ&Aの改正
(2014/2/16) ファンド監査の意見表明に変更?

ファンド監査の新しい監査報告書様式が公表

ファンド監査や年金監査といった特別目的の決算書等に対する監査について、新しい監査報告書の様式が公表されました。
公認会計士協会のHPで新様式を見ることができます。

匿名組合の監査報告書が例示

以前コラムで、目的や利用者が限定された決算書等について、特別目的の財務報告として監査のアプローチを区分する方針を取上げました。
ファンド監査はこれに該当することが多いと考えられ、今回公表された監査基準では匿名組合の監査報告書が例示として記載されています。
従来の監査報告書と比較すると、いくつかの点で違いが見られます。

ポイント①特別目的か一般目的か
決算書等が特別目的の場合、監査意見の下に以下のような記載がなされます。
「匿名組合出資者に提出するために営業者により作成されており、それ以外の目的には適合しないことがある。」

ポイント②準拠性監査か適正性監査か
特別目的の監査においては、特定の規則や契約に準拠しているか検討する「準拠性監査」となることが多いと思われます。
この場合、監査意見は「匿名組合契約~条の取決めに準拠して作成されているものと認める。」と表明するに留まります。
一方、従来の適正性監査であれば、この先に「すべての重要な点において適正に作成されている」といった意見が続きます。

ポイント③監査報告書の配布や利用が制限されているか
配布や利用に制限がある場合、監査意見の下に以下のような記載がなされます。
「営業者と匿名組合出資者のみを利用者として想定しており、営業者及び匿名組合出資者以外に配布及び利用されるべきものではない。」

匿名組合や投資事業有限責任組合といったファンド監査について、この新しい様式の監査報告書を今月から早期適用することが可能です。

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