エンジェル税制見直し、個人のベンチャー投資促進へ

先週政府より、個人投資家のベンチャー投資を税制面から支援する「エンジェル税制」の拡充検討が発表されました。

設立後3年未満→5年未満のベンチャー企業へ対象拡大

エンジェル税制では、個人投資家がベンチャー企業に投資する時点で、その投資家の所得税を減税する措置が設けられています。
この優遇措置は、ベンチャー企業が設立後3年未満の場合と10年未満の場合の2種類があります。
エンジェル税制

今回は、設立後3年未満の場合(上図A)の使い勝手を見直す方針で、以下のような案が検討されているとのことです。
● ベンチャー企業の要件:設立後3年未満→5年未満へ延長
● ベンチャー企業の要件:営業キャッシュフロー赤字要件を撤廃(黒字でも可能に)
● 所得から控除できる投資額の上限:現行(総所得金額の40%と1,000万円のいずれか低い金額)から引上げ

投資事業有限責任組合による投資でも適用可

エンジェル税制は、個人投資家が投資事業有限責任組合等のファンドを通じてベンチャー企業に投資する場合でも、適用することができます。
今回の見直しにより、個人投資家によるベンチャー投資の促進が期待されています。

関連するコラム:

(2014/1/26) 投資事業有限責任組合を活用したベンチャー投資で8割が損金に

 

投資事業有限責任組合等のファンド監査報酬(2012年度)

ファンド監査に対する報酬(監査費用)はいくらくらいでしょうか?
投資事業有限責任組合特定目的会社といったスキームによって異なり、また運用資産や投資規模等にもよりけりですが、公認会計士協会が監査実施状況の調査結果を公表しています。

ファンド監査の報酬は数万円~数百万円以上とバラつき

SPC・組合の中では、監査が義務づけられる投資事業有限責任組合及び特定目的会社が調査対象となっています。
2012年度(2012年4月期~2013年3月期)におけるファンド監査の報酬水準は下表の通りです。

ファンド(投資事業有限責任組合、特定目的会社)の監査報酬

投資事業有限責任組合は約100万円、特定目的会社は約150万円が全体の平均値でした。
但し、監査費用の最低値と最高値の幅は極めて広いという状況がわかります。
投資収益(売上高)10億円未満で見た場合、投資事業有限責任組合は5万円~1,320万円、特定目的会社は20万円~480万円といずれも大きく乖離しています。

この乖離の原因はファンドの性質・規模等の個別性に加え、監査する側の体制によるところもあるかと考えます。
例えば、大企業の上場監査をメインとしていたり、公会計から国際監査まで全てカバーしているような監査法人の場合、ファンドの実務経験のない会計士が関与し、その非効率が監査費用の増加へつながるケースも見られます。

悠和会計事務所は、ファンド監査に特化することで、今後も必要かつ十分なサービスをリーズナブルな監査報酬により提供してゆきたいと考えます。

「ファンド監査」に関連するコラム:

(2014/3/30) ファンド監査の新しい監査基準が公表
(2014/2/23) ファンド監査に関するQ&Aの改正
(2014/2/9) 投資事業有限責任組合の監査指針を改正

ファンド監査の新しい監査基準が公表

以前のコラムで、ファンド監査に「準拠性についての意見表明」という新しいアプローチが導入されることを取上げました。
これについて、金融庁・企業会計審議会が先月公表した「監査基準の改訂に関する意見書」の中で、準拠性監査として解説しています。

ファンド監査など、特別目的の監査の位置付けを明文化

従来の適正性監査には、以下の①、②が含まれています。
①財務諸表が表示ルールに準拠しているかどうかの評価
②財務諸表が全体として適切に表示されているかについて一歩離れて行う評価

今回新設される準拠性監査では、②の一歩離れての評価は行われないと位置付けられています。
この準拠性監査は、投資事業有限責任組合匿名組合に係るファンド監査の他、年金基金計算書や各種補助金の収支計算書にも適用が可能となりそうです。
140330ファンド監査の新基準

ファンド監査の新基準は来月から早期適用も可能

改訂監査基準は、2015年4月1日以後に開始する事業年度または会計期間に係る監査から適用となります。
なお、2014年4月1日以後に発行する監査報告書から早期適用することも可能です。 

「ファンド監査」に関連するコラム:

(2014/2/23) ファンド監査に関するQ&Aの改正
(2014/2/16) ファンド監査の意見表明に変更?
(2014/2/9) 投資事業有限責任組合の監査指針を改正

匿名組合の源泉徴収

ファンドの中でも匿名組合の場合、源泉徴収に関して投資事業有限責任組合のケースとは異なる点があります。
源泉徴収はファンドの資金繰り等に大きな影響を及ぼすため、取上げたいと思います。

匿名組合の利益配当には20%の源泉徴収

匿名組合で生じた利益を投資家に分配する場合、営業者は20.42%を源泉徴収します(所法161条⑫,210条)。
これは組合員が日本人・国内企業でも、非居住者等(非居住者または外国法人)の場合でも同様です。
この点、組合員が一定の非居住者等の場合を除き源泉徴収が不要であった投資事業有限責任組合とは大きく異なります。

匿名組合の源泉徴収の注意点
● 翌月10日までに税務署に納付(半年毎に納付できる特例(所法216条)の適用はなし)
● 営業者は税務署及び投資家に対し、支払調書を提出(所法225条③)
● 非居住者等の源泉免除規定(所法180条,214条)は、匿名組合の利益分配には適用されない

匿名組合に対する賃料等については源泉不要

前回のコラムで、投資事業有限責任組合において、組合員に非居住者等がいる場合は、事業会社が組合に賃料を支払うといった際に源泉徴収が必要になることを記載しました。
匿名組合においては、同様のケースで組合員に非居住者等がいても、賃料等はあくまで営業者に対する支払と位置付けられます。
従って、匿名組合に不動産の賃料や購入代金を支払う場合には、源泉徴収は不要となります。

「源泉徴収」に関連するコラム:

(2014/3/16) 投資事業有限責任組合の源泉徴収②
(2014/3/9) 投資事業有限責任組合の源泉徴収①

「匿名組合」に関連するコラム:

(2014/3/2) 匿名組合の利益計算が否認された事例

投資事業有限責任組合の源泉徴収②

前回のコラムでは、組合の利益分配時における源泉徴収をトピックとしました。
投資事業有限責任組合や任意組合では、原則として源泉徴収は不要ですが、組合員が非居住者等(非居住者または外国法人)の場合は源泉が必要となる規定があります。

今日は、一般の会社等が組合に対して賃料や報酬を支払う場合の源泉徴収について取上げたいと思います。

組合員に外国人がいる場合の組合に対する賃料等に注意

不動産を賃借したり購入する場合、その所有者が非居住者等であれば、借手や買主は支払時に源泉徴収が必要になります。
●不動産の賃借…20.42% (個人が住宅として使用する場合は源泉不要)
●土地等の購入…10.21% (1億円以下の物件で個人が住宅として使用する場合は源泉不要)

これが、不動産の賃貸人や売主が投資事業有限責任組合の場合にはどうなるでしょうか?
組合の構成員に非居住者等がいるのであれば、当該非居住者等へ賃料や購入代金を直接支払うのと同じ取扱になるため、やはり源泉徴収義務が生じます。
投資事業有限責任組合の源泉徴収

非居住者等の確認は支払者側が行う必要

この源泉徴収義務は支払者側が負います。
よって、例えば会社が投資事業有限責任組合から不動産を借りる場合は、組合員に非居住者等がいるか、また免除証明書の有無についても確認することが重要になります。
なお、非居住者等の源泉所得税は翌月10日までに納付します。
給与等と異なり半年毎に納付できる特例(所法216条)の適用は受けられないため、注意が必要です。

関連コラム:
(2014/3/9) 投資事業有限責任組合の源泉徴収①
(2014/3/23) 匿名組合の源泉徴収

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