2025年ファンド・投資環境の変化

2025年のファンド・投資環境は、トランプ関税や米中対立に揺れた一年なりました。
一方、日本においては、初めての女性首相が誕生し、積極財政への期待から「高市ラリー」による株価上昇も見られました。

ファンドに関しては、昨年から続く株高や堅調な不動産市場に支えられて投資や売却のご相談が多く寄せられました。

貯蓄から投資への流れを後押し

2025年改正項目 影響 内容
iDeCoの拠出限度額の引上げ 株式 月額62,000円~75,000円へ引上げ
エンジェル税制の見直し 株式 譲渡益発生の翌年までに再投資すれば繰戻還付
企業版ふるさと納税の3年延長 株式 チェック機能強化の上、2028年3月31日まで延長
中小企業経営強化税制の見直し 事業 延長、A類型拡充、C類型廃止

2025年の投資関連税制では、個人・法人の投資を後押しする改正が目立ちました。
特にiDeCoに関し、第2号被保険者(会社員・公務員)の拠出限度額が月額62,000円へ引上げられたのは歓迎すべきです。
一方、退職所得控除に係る減額調整の範囲が支給後4年内から9年内へ厳しくなった点は注意が必要です。

エンジェル税制については、譲渡益発生の翌年までに再投資すれば還付を受けられるよう改善されました。
こちらに関しても、翌年末までの保有期間要件が設けられるなど留意点があります。

2026年改正ではこどもNISAが新設

来年の税制改正では、以下が挙げられています。
● こどもNISAの新設
● 暗号資産が分離課税に
● ミニマムタックス課税の拡充
● ふるさと納税に上限設定

こどもNISAは年間60万円、最大600万円の投資枠が予定されています。
ジュニアNISAと比較して使い勝手が改善されている点も見られ、注目を集めています。

ファンドへの出資も公正価値評価が可能に

「金融商品会計に関する実務指針」(移管指針第9号)が改正されました。
一定の要件を満たすベンチャーキャピタルファンド等へ出資する場合、当該ファンドの投資先である非上場株式等を公正価値(時価)で評価できるようになりました。

組合が投資する非上場株式等の時価評価が可能に

組合等(投資事業有限責任組合、匿名組合、パートナーシップ等)の構成資産が市場価格のない株式の場合、日本の会計基準では従来取得原価で評価することとされていました。
一方、ベンチャーファンドを中心に、非上場株式等を公正価値(時価)により評価する組合等も増えてきました。

関連コラム:
(2024/9/30) 投資事業有限責任組合は公正価値評価が原則に

ファンドが時価評価を行っても、パススルーで取込む出資者側がIFRSを採用していない場合、これまでは日本基準に従い取得原価に組替えなければなりませんでした。
今後は、以下の2要件を満たす組合等へ出資した場合、時価評価が可能となります。
①組合等の運営者が、財産の運用を業としていること
②組合等の決算において、投資先である市場価格のない株式について時価評価を行っていること

出資者の処理 改正前 改正後

組合等が投資する非上場株式等

取得原価 一定の要件を満たす組合等は時価(公正価値)評価が選択可能に
減損するケース 実質価額(1株当たりの時価純資産評価額等)が50%程度以上低下した場合 時価評価を選択した場合、当該時価が50%程度以上低下したとき
(回復見込があると認められる場合を除く)
注記 時価評価を選択した場合、その旨・選択方針・貸借対照表計上額等を注記

なお、時価評価を選択した場合、評価差額の持分相当額は純資産の部に計上します。

また、時価評価の対象となる範囲について、以下の注意点があります。
・組合等ごとに時価評価を適用するか出資時に選択し、原則として継続適用
・組合等の構成資産が出資者の子会社及び関連会社株式である場合、時価評価の対象外
・ファンド・オブ・ファンズの場合、組合等が出資する別の組合等ごとに時価評価の要件を満たすか判定を行う

本改正実務指針は、2026年4月1日以後開始する事業年度から適用されます。
2025年4月1日以後開始する事業年度からの早期適用も認められています。

2024年ファンド・投資環境の変化

2024年のファンド・投資環境は、各国中央銀行の政策が転換期を迎えた年となりました。
欧米や豪州などが政策金利の引下げに踏み切った一方、日本は利上げが注目されました。

ファンドに関しては、株高や堅調な不動産市場に支えられて新規案件のご相談も多く、投資意欲の高さを伺わせました。

中小企業のM&Aを税制が後押し

2024年改正項目 影響 内容
事業再編投資損失準備金制度の拡充 株式 株式取得M&Aで損金割合が最大100%に
オープンイノベーション促進税制の延長 株式 25%所得控除のM&A税制が2026年3月末まで延長
暗号資産の譲渡制限で時価評価対象外に 暗号資産 譲渡制限ある暗号資産が時価評価の対象外に
登録免許税、不動産取得税の軽減延長 不動産 個人の住宅用家屋等の軽減税率を延長
× 金・地金等の消費税法制限 仕入200万円で2年間免税事業者等の特例不可に
× 倒産防止共済の損金に制限 全般 解約2年以内の掛金は損金不算入に

2024年の投資関連税制では、中小企業のM&Aを後押しする改正が続きました。
事業再編投資損失準備金制度では、株式取得額の最大100%が損金算入される拡充枠が新設されました。
また、オープンイノベーション促進税制も2026年3月末まで延長されています。

この他、法人が保有する暗号資産の含み益課税も、適用除外となる範囲が拡大されました。

一方、金・地金等の売買や倒産防止共済を利用した抜け穴的な節税には一定の歯止めが掛けられました。

2025年改正ではiDeCoの拠出限度額引上げが注目

来年の税制改正では、以下が挙げられています。
● 企業版ふるさと納税の3年延長
● エンジェル税制の見直し
● iDeCoの拠出限度額の引上げ

iDeCoの拠出限度額の引上げにより、貯蓄から投資への流れは一層加速する可能性があります。
原則60歳まで引出せないなどのデメリットも検討の上、上手に活用すれば資産形成に大きなプラスとなるでしょう。

2022年ファンド・投資環境の変化

2022年のファンド・投資環境は、ロシアのウクライナ侵攻によるショックに揺れた一年となりました。
また、アメリカを始めとする諸外国はインフレを抑制すべく政策金利の引き上げに踏み切り、日本も大きな転換点を迎えたようであります。

一方、新型コロナウィルスに関しては、未だ気を緩めることはできないものの、日常生活や経済活動は正常化へ向けて動いているのを感じます。

こうした中、ファンドについても、組成を積極的に進める意向と慎重に検討する姿勢の両方が見られました。

富裕層向けの節税対策を封じ込め

2022年改正項目 影響 内容
オープンイノベーション促進税制を延長 株式 ベンチャー投資の25%所得控除を2年延長
不動産取得税、登録免許税の軽減延長 不動産 個人の住宅用家屋等の軽減税率を延長
受取配当金の益金不算入規定の判定 株式 出資比率の判定は100%支配関係にあるグループ全体ベースで
× 即時償却目的の少額資産投資を規制 全般 「10万円未満資産の大量購入+貸付」スキームによる税金繰延が不可に
× 配当が総合課税となる大株主の範囲拡大 株式 個人と同族会社の持株割合が合計3%以上で総合課税に

2022年税制改正の中で大きな反響を呼んだのは、少額資産の大量購入による節税に対する規制でした。
10万円未満の減価償却資産は即時償却が可能であることから、従前は黒字企業がドローンや足場等を大量に購入して税金の繰延を図るケースがよく見られました。
今後は少額資産を購入後に貸付ける場合、原則として即時償却ができなくなります。

この他、配当所得が総合課税となる大口株主の範囲が拡大されました。
3%ルールは、個人とその同族会社の持株割合を合算して判定することとなります。

他方、オープンイノベーション促進税制、不動産取得税や登録免許税の軽減といった従来の優遇措置は延長されました。

2023年改正はNISAの拡充に期待

来年の税制改正では、以下が挙げられています。
● NISA制度の拡充・恒久化
● スタートアップへの再投資に係るキャピタルゲイン非課税制度の創設
● コインランドリーやマイニングマシンへの投資を税制優遇対象から除外

中でも岸田政権が掲げる資産所得倍増計画の目玉として、NISAの拡充が話題です。
国民の将来の生活を豊かにする制度となるよう期待しています。

2021年ファンド・投資環境の変化

2021年のファンド・投資環境は、新型コロナウィルス感染症への対応と経済活動の活性化へそれぞれが取組み、1年前よりも前向きな流れを感じる年となりました。
世界的な金融緩和は続く一方、アメリカでは利上げも意識され始めています。
このように世の中の動きが加速する中、ファンドの組成に関してはこれまでと変わらず多数ご相談を頂戴しました。

中小M&Aで株式の7割損金等、投資や事業承継の後押しも

2021年改正項目 影響 内容
経営資源集約化税制の創設 株式 中小企業M&Aで株式購入額の7割損金に
不動産取得税、登録免許税の軽減延長 不動産 特定目的会社や投資法人等の軽減税率が2年延長
NISA制度の改正 株式 つみたてNISAの延長等
× 社債利子の総合課税対象範囲が拡大 不動産 同族会社を間接的に保有する場合でも社債利子は総合課税に
× 匿名組合の特別償却に制限 全般 匿名組合に対し中小企業投資促進税制の適用を除外

税制改正の目玉として、経営資源集約化税制が創設されました。
中小企業M&Aで一定の要件を満たす株式売買について、購入額の7割を損金とすることが可能です。

また、不動産取得税や登録免許税の軽減措置が2年延長されました。
他にもつみたてNISAの設定期間を2042年まで延長されるなど、税制面から投資を後押しする意思を感じます。

一方、同族会社の社債利子に関し、総合課税の対象とする範囲を広げる等、富裕層の抜け穴的な節税策がまた一つなくなりました。

2022年は富裕層にとって増税方向の改正が多数見込まれる

来年2022年は、富裕層の税制優遇や節税策を縮小・廃止する改正が目立つようです。
● 住宅ローン控除の控除率引下げ (控除期間は長くなる場合も)
● 配当所得の総合課税対象範囲の拡大
● 貸付用の少額資産について損金算入特例の適用除外

少し前まで常套手段であった節税策があっという間に通用しなくなるパターンが随分増えました。
最新の税制や特例措置を確認することが重要です。

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